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My Recommend Books !みなさんのオススメの本を熱く語り合いましょう!
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『スノードーム The Speed of the Dark』 アレックス・シアラー 求龍堂 (chiekoa)
ある日、若い科学者クリストファーが姿を消した。彼はひたすら「光の減速器」の研究を続ける、ちょっと変わった青年だった。失踪の際、彼は同僚のチャーリーにある原稿を残した。そこに綴られていた、不思議な物語とは…。 図書館で見かけて「あ!『チョコレート・アンダーグラウンド』の人だ!」と思って手に取りました。そして手にとってみたら、息を呑むようなきれいな装丁…迷うことなく借りました。そして読みました。 読んでみたら、『チョコレート〜』のイメージで想像していたのとは全然違う物語でした。ああいう風な、わくわくしたりどきどきしたりする楽しい物語とかではなくて、胸がぎゅうぎゅうと締め付けられるような、そう、締め付けれられてほんとうに痛くなるような、切ない切ない物語でした。これは「愛」の物語です。 人が人を愛するということ。その気持ちを受け容れてもらえなかったときの、あの行き場のなさ。それが呼んでしまったこんな「事態」と、その「事態」を受け入れ、そしてこんなふうに対応していく気持ち…。何度も泣きそうになりました。彼がしたことは、正しいことじゃない、決してそうじゃないけれど、でも、私にはわかる。きっと、誰にもわかるんじゃないかな…。認めたくないけれど、心の中に、きっとあるんじゃないかな…。 男と女の愛、親子の愛、そうじゃない、全くの他人である人と人の間の愛。誰かとの間に関係を築いていくということ。その感情の名前。「愛」のかたちはきっとさまざまで。でもそれぞれが大切で、愛しくて、なくせなくて、そしてちょっと心に痛くて…。 とてもとても、オススメです。
風の墓碑銘(乃南アサ)・・・ゆこりん
アパートの解体工事現場から3体の白骨死体が!女刑事音道貴子はアパートの持ち主の老人に接触するが、その老人は何物かに撲殺されてしまう。音道は滝沢とコンビを組み事件の謎を追うが、意外な結末が待っていた。おなじみの音道貴子シリーズ。 作品の組み立て方がとてもしっかりとしていた。また、音道、滝沢、そのほかの登場人物たちもきっちりと描かれていて、作品自体を深みのある濃厚なものにしている。当人同士は最悪のコンビだと思っているが、周りの目からは絶妙のコンビに見える二人の微妙な関係。それにからむ音道、滝沢、それぞれが抱える私的な悩み。それらが作品をより面白くしている。殺人の動機には、音道と同じように私も怒りを覚えた。被害者や被害者の家族が哀れでならない。現代社会が抱える介護の問題などもおりまぜ、最初から最後まで読み手を飽きさせない。読みごたえがあるとても面白い作品だった。
四度目の氷河期(荻原浩)・・・ゆこりん
目の色も髪の色もみんなとは違う。外見も行動も人とは違うことを常に意識していたワタル。彼は、母親が教えてくれなかった父親について、驚くべき発見をする。そこから彼の新たな生き方が始まった・・・。一人の少年の成長の記録。 母が決して語らない父のこと。父親は誰か?思い当たったワタルは、その日から自分自身を変え始める。少しずつ成長するワタル。変わっていくのは体だけではない。心もしっかりと確実に成長していく。「人とは違う」「普通」、その線引きをする基準は何だろう?いや、そんなものは初めからないのだと思う。だれも明確にそのことを断言できる人はいないだろう。けれど、人はそういう線引きをしたがる。そのことから抜け出したワタル。人はこうして成長していくものだとあらためて思った。そうそう、作者の荻原さんの言いたいことは、83ページの3行目だそうなので、そちらもじっくりと・・・。タイトルに深く関係しています。
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