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My Recommend Books !みなさんのオススメの本を熱く語り合いましょう!
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『ひかりをすくう』 橋本 紡 光文社 (chiekoa)
グラフィックデザイナーの仕事を辞め、同居人の哲ちゃんといっしょに田舎に引っ越した智子。そこでの彼女の生活は…。 『流れ星が消えないうちに』がなかなかお気に入りだったので、新作を読んでみました。うーん、やっぱりいいです。わー!とかきゃー!とか、そういう熱い気持ちじゃなくて、なんというか、ほんわかと、いいなぁと。好きだなぁと。春みたいな気持ちです。 生きていくってことは、わりと大変で、迷って悩んで答えを出しても、またその答えに迷ったり悩んだりしてしまって。でも、それでもやっぱり人は生きていくんだし、生きていくうちにはすばらしい瞬間が待ってたりする。そういう、本当につらいときには信じられなくなってしまいそうな「ひかり」を、信じさせてくれるような、見つけさせてくれるような、そんな本でした。 表紙もとっても素敵です。この画像じゃわからないと思うけど…。左上の青いのは、ただの青じゃないんですよ。右上の紫も、ただの紫じゃないんですよ。本屋さんで見かけたらぜひ手にとって確かめてみてください。きっとにっこりしちゃいます。 あと、中に登場する「お料理」たちがすごくおいしそうです。人間の体は食べ物でできてるんだっていうこと、ご飯を食べておいしいって思うことが、そう思えることがどれだけ大切かっていうこと、そんなことにも思いを馳せました。 お金のこと、仕事のこと、周りの人のこと、病気のこと。現実は、こんな簡単にはいかないのかもしれないけれど、でも、それでも。がんばってる人に。そして、がんばってがんばってがんばってしんどくなってしまった人に。きっと読んだら、心にあったかい「ひかり」がともると思います。オススメです。
『ガール』 奥田英朗 講談社 (トラキチ)
<思わず“新・短編の名手”と言う言葉を授けたくなるぐらい読者を溌剌とした気分にさせてくれる短編集> 30代の働く女性を主人公に据えた短編集。 同じ講談社から2002年に発売された40代の男性管理職を主人公とした短編集『マドンナ』の姉妹本と言えそうな本作。 両方読まれた方は賛同していただけると確信しているが、本作の方が“輝いている女性”を描いているために読後感がさらに良いのである。 本作の特徴は女性の微妙な心理を男性作家ならではの鋭い観察眼で読者に思う存分披露してくれている点。 既婚・未婚問わずに働く女性の方には是非読んでいただきたいなと思う。 必ず相手方(既婚の方は未婚の方の、また未婚の方は既婚の方の)の気持ちが十分に理解でき、なおかつ尊重できるのである。 なぜなら人生の価値観は人によって様々で然りであるからだ。 各編、読後読者それぞれが元気をもらいそれぞれの幸せへと一歩踏み出したような気にさせられる。 奥田さん、伊達に直木賞取っていないなと思わずにいられない。女性作家のように毒づいたところは少なく幻想的な部分は皆無といってよいが、女性作家顔負けの微妙な心理を的確に描写している点は見事のひと言に尽きる。
女たちのジハード(篠田節子)・・・ゆこりん
「どんなにつらくたって負けない!」人からどんなことを言われてもどんなふうに扱われても、めげずに自分自身の幸せを追い求めた5人の女性の物語。直木賞受賞作品。 男女平等とは言うけれど、世の中まだまだ完全にそうはならない。長年OLをやっていれば、風当たりも強くなる。この作品に登場する5人の女性たちは、それぞれの幸せを求めて奔走する。どうすれば自分が幸せになれるのか?試行錯誤?紆余曲折?邪魔者扱いされても決してめげず、己の道を突き進む。作者は軽快なタッチで彼女たちの奮闘ぶりを描いている。まるで雑草のごとく、踏まれれば踏まれるほど彼女たちは強くなる。その姿は戦士そのものだ。さて、戦いののち彼女たちが勝ち取ったものは・・・?それぞれ全く違うけれど、どれもキラキラと輝いていた。読後もすっきり♪読み応えのある、楽しい作品だった。
それからはスープのことばかり考えて暮らした 吉田 篤弘 (bon)
引っ越してきたばかりの大里(オーリィ)は、3と印刷された袋を抱える人が多いことを不思議に思う。 大家の大屋さん(マダム)から、それはなかなかおいしいサンドイッチ屋の袋だと教えてもらう。 そのサンドイッチは、なかなかどころか人生が変わってしまうほどの味だった… 久々のマイレコです。はじめて読んだ作家さんなのですがよかったです。 すごく居心地のいい話でした。 続きが気になるのに読み終えるのがもったいないくらい。 私はひねくれたところがあって、いい人ばかり出てくる話ってあまり好きじゃないのですが、 ここに出てくる人たちはいい人ばかりなのになぜか愛しいんです。 みんななにかぼうっとしたものを抱えているんです。 見えない心の穴と言ったらいいんでしょうか… 主人公オーリィは古い日本映画が好きで、そんな日本映画を上映している映画館に行くと 同じようにいつも来ている緑色の帽子のおばあちゃんが気になります。 この女性がこれまたkeyなんです。 この二人の関係が、なんともいえなくて羨ましくもあり、憧れてしまうほどすごくいいんです。 緑色の帽子のおばあちゃんも大家のマダムもサンドイッチ屋の安藤さんもその息子のリツ君も それぞれが重要で愛すべき存在なんです。 決してでしゃばらず、脇役なんだけどそれでいてそれぞれが味を出してるのです。 これぞスープの極意。 最後に出てくる「名なしのスープの作り方」がこれまたいいんです。 思わずにんまり。 そしてスープを作ってみたくなる、もしくは飲んでみたくなります。 なんか大事なことが隠されてるというか、気付かされます。 こんな風に生きれたらいいのに。
『凸凹デイズ』 山本幸久 文藝春秋 (トラキチ)
山本 幸久 / 文藝春秋(2005/10/25) Amazonランキング:位 Amazonおすすめ度: コミカルな会話が楽しい 一生懸命ってちょっとカッコいいじゃん、と思える1冊 <自分自身の輝ける居場所探しに恰好の1冊> 個人的な意見であるが、これから次世代の直木賞を狙える男性作家として本作の山本幸久さんと三羽省吾さんのお2人を注目している。 お2人とも今後のエンタメ小説界を背負って立つに相応しい逸材だと信じて疑わない。 本作は山本さんのいいところがギュッと詰まった傑作だと言えそうだ。 作者のいいところは次の2点あたりがあげれるだろう。 まず作風がとってもハートウォーミングな点。 次に登場人物が皆個性的でキャラが立っている点。 本作は上記2点が巧みにミックスされ、“山本ワールド”を見事に構築させた作品である。
『空白の叫び』貫井徳郎
空白の叫び 上 空白の叫び 下 貫井 徳郎 2006年 小学館 上 P.582 下 P.572 ★★★★★ なぜこんなことになってしまったのか、原因がよくわからない。どこで選択を誤ってこのような事態になってしまったのか、いくら考えても思いつかなかった。ただわかるのは、もう引き返すわけにはいかないということだ。搾取される側に回るくらいなら、犯罪者になった方がいい。そのせいで警察に捕まったとしても、後悔だけはしないと己に固く誓う。これは、自分を守るための闘いなのだ。内なる声がそう言い続ける。 ごく普通の家庭に育ち、構いすぎる母親に、息子に無関心な父親、ぱっとしない成績と運動能力…自分を取り巻く何もかもが凡庸であることを嫌悪し、この先何十年生きようと、楽しいことなど何もないと考える久藤。 祖母と叔母の三人で暮らし、静まり返った広い家で、学校が終わってからの長い時間、二人の帰りを待ち侘び「どうして、僕だけ…」と己の身の不幸を嘆く、母親に見捨てられた、神原。 使用人を雇うほど裕福な家庭に生まれながらも、その恵まれすぎた環境や、端正すぎる顔立ちにコンプレックスを抱き、自分自身を嫌悪する、葛城。 生まれも育ちも、考え方も、生き方も、全く異なる三人の少年たち。 虐められる者から、虐める側へ変貌を遂げ、それでも、始終ざわつく心を抑えきれず、金で女を買っても、心が満たされないことに苛立ちを覚える、久藤の前に現われた新任教師。 祖母が亡くなった後、叔母に転がり込んだ遺産を、汚い手を使って搾取しようとする、神原の実の母親。 我が物顔で屋敷に出入りし、葛城に嫉妬し、寄生虫のようにまとわりつく、葛城の幼馴染でもある使用人の息子、英介。 まだ、たったの14歳の三人の生活を脅かす者たち…。 一線を越えてしまった三人が、送り込まれた少年院で、受ける惨い仕打ち。 そして、10ヶ月の入院生活の後…。 「殺人者となった少年は更生できるのか 後悔はしていない。罪を償ったとも思っていない――再スタートを切った三人の挫折を鮮やかに描き出す新機軸ミステリー」 舞台が少年法改正以前ということで…。 ものすごく読み応えのある本だった。 三人の少年たちが、それぞれに何を思い、どうして人を殺してしまったのか、そこまでの過程が丁寧に書かれていて、読んでてすごく引き込まれる展開で…。 でも、中学生相手に「性」を貪ろうとする、いい歳した女の人たちって…いるのかな? まともな大人が出てこない。 特に上巻の、少年院に送り込まれてからの三人の入院生活の部分は、すごくリアルで怖かった。 本当に少年院の中ってこんなんなのかな。 まあ、二度と入りたくないと思えるような所でないと困るんだけど、にしても…葛城の受けた仕打ちは、あまりにも可哀想な気もした。 いっそ植物のように生きたいという気持は、良くわかる。 退院後の展開は、まあ、そうなんだろうなぁ。 罪を犯した人間に対する世間の目も、遺族の思いも。 (ちょっと突飛な気もしたけど…) 成長するに従って、どんどん人間らしさを失っていく一人の少年の変化が、一番恐ろしかった。 彼だけが、具体的にイメージできなかったのは、あまりにも「普通」すぎたからかもしれない。 なので、このラストは仕方ないのかな、とも思える。 少年院の生活のとこ読んでるときに、昔のドラマ「不良少女と呼ばれて」を思い出してしまった。 あれも、確か少年院の中で結構な虐めにあってたなぁと…。
イレギュラー 三羽省吾 角川書店 (chiekoa)
住んでいた村が水害で壊滅。避難生活を余儀なくされ苦しい生活の中、練習もままならない蜷高野球部。そんな蜷高の野球部監督に、練習場所を提供しようと話を持ちかけたのは、センバツ出場も果たした地元の名門野球部K高の監督。彼の目論見は…。 これは…大ヒットです!ホームランです!ただでさえ青春モノが大好きな私。それにくわえて高校野球ときた日には!!(毎年毎年テレビでみまくり、泣きまくり)。もうこの表紙からして私の心をわしづかみです。 私は弱虫なので、「現実的じゃなかろうが、できすぎだろうが、私の望むところの完全なるハッピーエンド」で終わるのが実は一番好きなのですが、この本はそうじゃないところが、そこが逆にぐっときてよいというか、だからこそよいというか、こう、なんというか、上手くいえないのですが、胸にズキズキきて、もうとっても最高に好きです。(興奮のあまり文章がやや乱れております)。 高校野球の話ですが、スポ根…というのとはちょっと違う、でも愛すべき野球バカたちの物語。もう思わず顔が赤くなりそうな青い青い感じが!いいいです!いいですねぇ。(って年寄りの感想)。登場人物のキャラクターもみな非常によく、とくに狭間くんの脳内一人突っ込みと、和尚のカクシャクっぷりには、何度も声を出して笑わせてもらいました。最高です。 笑って、泣いて、きゅんとして。実際の夏の高校野球は終わっちゃいましたけど、ここにはまだまだ暑い夏があります。声を嗄らして応援したい人々がいます。さぁ、みなさま、ごいっしょに!
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