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2007.07.04 Wednesday  | - | - | 

『圏外同士』 冨士本由紀 集英社 (七生子)

圏外同士
圏外同士冨士本 由紀
集英社 2006-04
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セクハラという言葉さえ通じない!?
デザイナーへの夢を捨てきれない乃絵と、彼女を愛人にしたい雇われ社長の蕪木。人生の大逆転を夢見る二人が、同じ職場で働いたら? ユーモアとウィット溢れる、働く大人のためのコメディ。

お・も・し・ろ・かった〜♪
今まで読んだ冨士本作品は、ビアンものだったり、
ざらついた読了感が残るようなアクの強い作品ばかりだったのに対しこの作品では、
シニカルな人間観察がそのまんま笑いへ転じるような、なんとも言えないおかしみ(とちょっぴりの悲哀)があって、
冨士本さん、一皮剥けた感じ。
ただおかしみがあるだけじゃなく、
「人間ってヤツは、諦めさえしなければいくつになっても夢を追えるんだ!頑張れ!」と、
ポンと背中を押して貰った気分にもなります。
勇気とやる気を貰ってパワー全開、前向きな気分で本を閉じられるのがいいですね。
人間万事塞翁が午という言葉は、まさに乃絵と蕪木のためにあるんじゃないかしら?
圏外同士だった乃絵と蕪木が圏内同士になって巻き起こる喜悲劇は、
決して他人事じゃない。きっと読者にも跳ね返り、何かしら感じるモノがあると思います。
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2006.06.28 Wednesday 08:36 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『ミーナの行進』 小川洋子 中央公論新社 (トラキチ)


小川 洋子, 寺田 順三 / 中央公論新社(2006/04/22)
Amazonランキング:位
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<2006年初夏、素晴らしい名作に出逢った>

美しくて心が安らぐ小説である。
私の場合何年かに1度、欠点のない作品に出くわすことってあるのであるが、本作もその数少ない作品の中の1つに仲間入りを果たしたと言える。

小説を読んで、是非他の方とこの暖かさを分かち合いたいと思ったことはないであろうか。
私はこの作品をひとりでも多くの方に手に取って欲しいなと思っている。
この作品はいわば読者の賛否両論の起こりうる作品ではないと思うからだ。
多少の読書のジャンル的な嗜好による合う合わないは出てくるであろうが、根本的に否定される方って“あまのじゃく”だと思うのである。

小川さんは本作で小説で描きえる最大限の懐かしさやあたたかさを読者に披露してくれている。
小川さんの上手さに舌を巻いた読者のひとりとして感想を書かせていただこう。
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2006.06.28 Wednesday 04:00 | comments(0) | trackbacks(3) | 

『テースト・オブ・苦虫2』 町田康 中央公論新社 (聖月)

テースト・オブ・苦虫〈2〉
テースト・オブ・苦虫〈2〉
町田 康
 今は駿河の國でせっせと出稼いで働く評者だが、鹿児島時代は、出身地、生れ故郷ということもあり、せっせと働きながらもこれ飲み会が多く、飲み会が多いのはいいのだけど、1次会が終わると皆様すぐ2軒目行こうという話になり、評者の好きくないキャバクラなんどに行くわけで、評者もSSだからって、SSって何?って訊かれれば、そりゃスーパーサラリーマンの略だし、要するにスーサラだからお付き合いで一緒に行くわけで、なんでキャバクラが好きくないかといえば、女給と話するのが甚だ面倒だからである。

 そのキャバクラの名前が「おかえりなさい」なんていう名前で、入っていくと“お帰りなさい♪”なんて女給たちが声をかけてくるわけで、要するにアホな男どもに、仕事や家庭はあなたの仮の棲み家、あなたの帰るところはここなのよ♪などの浅墓な策謀が根底に見えているにもかかわらず、アホな男どもや評者の友人たちはまんまとその策謀にひっかかり、その店に帰っていくのである。仕方なく付き合いで入っていって、ついた女給が“お帰りなさい♪私の名前は由華よ。ユカリンて呼んでね♪”なんて言うのだが、自分が知っている女給は明美嬢にクンクンに靖子姫しかいないわけで、その3人が“お帰りなさい♪”というのならまだしも、見も知らないユカリンという女性にお帰りなんて言われるのは、知らない人の家に行ってお帰りなんて言われるのと一緒で甚だ片腹痛く、そう文句を言おうかと思ったのだが、バストが大きいので許すことにした。
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2006.06.18 Sunday 11:17 | comments(0) | trackbacks(11) | 

『雪屋のロッスさん』 いしいしんじ メディアファクトリー (トラキチ)


いしい しんじ / メディアファクトリー(2006/02)
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<何回も繰り返して読みたいワールドワイドな作品集>

以前、いしいさんの本に挑戦したことがあったのであるが残念ながら挫折した経験がある。
リベンジということで今回手に取ってみたが、この本が読者にもたらしてくれる内容と同様大きな教訓を私に与えてくれた。
それは“物事に先入観を持ってはいけない!”ということである。

雑誌ダ・ヴィンチに連載されていたショートストーリーの単行本化。
収められてるのは全30編。市井の人々の仕事と暮らしを描いている。
まさに大人のファンタジーワールド。
短いものは見開き2ページで長いものでも6ページしかない。

予想に反してすべてがハートウォーミングなものばかりではなく、ところどころに人間の嫌な部分も書いている。
決して人生一筋縄ではいかないのである。
が、根底にあるのは“素朴さと暖かさ”
そこに大いなる魅力を感じる。
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2006.06.10 Saturday 01:59 | comments(2) | trackbacks(2) | 

殺人症候群(貫井徳郎)・・・ゆこりん


「なぜ、こんなにひどい殺され方をしなければならなかったのだろうか?」やり場のない深い悲しみ、そして相手を殺したいと思うほどの憎しみ。人を人とも思わない加害者を抹殺するのははたして悪か?さまざまな問題を投げかける、症候群シリーズ第3作。

未成年というだけで、精神を病んでいるというだけで、殺人を犯してもたいした罪には問われない。数年の後には社会復帰して、何食わぬ顔で普通の生活をする。そんな加害者の姿を見たら、被害者の家族はいったいどう思うのだろうか?まして、加害者側の人間に反省の色が見えないとしたら?おそらく憎しみでいっぱいになるに違いない。それは、相手を殺したいほどの憎しみかもしれない。「法が裁いてくれないのなら、自分の手で。」愛する家族を失った者がそう考えたとしても、それは無理のないことだ。この作品に登場する人たちの心に残る深い傷・・・。それを死ぬまで抱えなければならないつらさは想像を絶する。もし自分がその立場になったなら、「復讐のための殺人はいけない。」とは言えないだろう。何が悪で何が正義か?この作品が読者に問いかけるものは、あまりに大きすぎて重すぎる。とても深く考えさせられる作品だった。
2006.06.06 Tuesday 15:48 | comments(0) | trackbacks(0) | 

讃歌(篠田節子) ・・・ゆこりん


かつての天才少女ヴァイオリニスト柳原園子。彼女は30年近く音楽から遠ざかっていたが、現在はヴィオリストとして人々の心に深い感動を与えていた。彼女の栄光と挫折そして再生を描いたテレビ番組は大反響を巻き起こす。だが、それははたして真実だったのか?

何がどうなるべきだったのか?何がいけなかったのか?柳原園子の半生を描いた番組は、事態を思わぬ方向に向け始める。どこまでが真実でどこまでが虚偽か?いや、もともとそういうものはなかったのかもしれない。人々の解釈の仕方、思惑、そして時には感情までが、たった一つしかない真実を多種多様に変化させたのではないだろうか。毀誉褒貶の嵐の中、園子は何を思っていたのだろう?どんなものでもそれを「極める」ということは容易なことではない。好きとか、愛しているだけでは乗り越えられない壁がある。そのことに気づいたとき園子は・・・・。とても切ない作品だった。
2006.06.05 Monday 16:57 | comments(0) | trackbacks(1) | 
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