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2007.07.04 Wednesday  | - | - | 

レクイエム(篠田節子) ・・・ゆこりん


祥子が介護士をしている老人病院に、伯父は偶然入院してきた。ベッドの上で伯父は、戦争中の自分の体験を淡々と語り始める。その驚くべき内容。祥子はなぜ伯父が宗教の世界に身を置いたかを、ようやく理解したような気がした・・・。表題作「レクイエム」を含む5編を収録。

人の心の中にあるひずみ。それが見せる幻なのか?作者の描く世界はとても不思議な世界だった。逝く者と見送る者、心のすき間を埋めようとする者、人生を振り返る者、語られる悲惨な過去の話に耳を傾ける者。そのどれもが悲哀に満ちている。特に「レクイエム」は読んでいて切なかった。自分が生きるためにしたことは、結局自分の人生を狂わせていく。他に選択肢などあるはずもなかったのに。読後、泣きたくなるような思いが心に残った。
2006.03.27 Monday 16:46 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『忘れないと誓ったぼくがいた』 平山瑞穂 新潮社 (chiekoa)

4104722022忘れないと誓ったぼくがいた
平山 瑞穂
新潮社 2006-02-20

たとえ世界中の誰もが君を忘れてしまっても、ぼくだけは君を憶えてる―。
一目見て気になっていた眼鏡屋の店員「織部」と、偶然自分の高校で再会したタカシ。ある日彼女がタカシに告白した彼女の「秘密」とは…。

何がいい…っていうのはうまくいえないですが、とりあえず最後まで一気に読ませます。普通に読んだらこういう設定って、ものすごく鼻についていらいらしそうなんですけど…全然そんなことありませんでした。文章が上手いって、こういうことなのかな…。最後に泣く!ということは私はありませんでしたが、なかなかよい読書ができたと思いました。とにかく「読ませ」ます。

平山瑞穂さん、今後も要チェック…。(ちなみに、男性の方だそうです!)
2006.03.27 Monday 15:41 | comments(0) | trackbacks(1) | 

失踪症候群(貫井徳郎)・・・ゆこりん


一見何のつながりもない若者たちの失踪。だが、調べていくうちにそれがつながりを見せ始める。警視庁にいる環から依頼を受けた、私立探偵、托鉢僧、肉体労働者と職業も個性もばらばらな3人は、さっそく調査を開始する。

周りからのさまざまな圧力を感じたとき、人はそれまでの人生をリセットしたくなる瞬間があるのかもしれない。生まれ変わってまったく別の人生を歩みたくなるときがあるのかもしれない。だが、今の世の中ではそれは不可能なことだ。この作品の面白さは、その不可能と思われたことを実現するところにある。今までとは違う人生を求めたために起きた悲劇。失踪はやはり「逃げ」にしかならないし、決して幸せになる手段でもない。大事なのは、いつどんなときでも自分自身から逃げない強さを持つことではないだろうか。
2006.03.26 Sunday 15:30 | comments(0) | trackbacks(0) | 

功名が辻(司馬遼太郎)・・・ゆこりん


織田信長の家中に、出世など望めそうにない山内伊右衛門という武士がいた。彼は、千代という美しい嫁をもらう。伊右衛門と千代が二人三脚で功名をめざし、ついには一国一城のあるじになるまでを描いた作品。

信長、秀吉、家康と、つぎつぎに天下を取る武将が変わる。めまぐるしく移り変わる戦国時代。どの武将につき従うかで、おのれ自身、妻子、家来の運命が変わる。信長の時代から無事に生き残ったのは、徳川家康と山内一豊だけだと言われている。一豊と千代、二人力をあわせて時代の波を乗り切ろうとする姿は感動的だ。時には命を落としそうになるが、それでも必死に生き抜いていく。一豊はどちらかというと平凡な武将だったのかもしれない。その一豊が土佐の国の城主になったとき、何かが変わった。晩年の一豊のやり方に、読む者は違和感を感じるかもしれない。だが、戦国時代を命を賭けて走りぬいてきた彼だから、やむをえないという思いもする。一豊、そして一豊を見守り続けた千代。二人の物語は、これからもずっと語り継がれるに違いない。
2006.03.12 Sunday 20:30 | comments(0) | trackbacks(1) | 

凍(沢木耕太郎)・・・ゆこりん


難関と言われたヒマラヤの高峰「ギャチュンカン」。この峰に、山野井夫妻が挑戦した。過酷な状況で二人はいかにして登頂したのか?壮絶な記録。

おそらくフィクションでもここまでは書けないだろう。そう思わせるほどの過酷な状況だった。おのれの肉体だけでなく精神の限界さえも超え、登り続けた二人。いったい彼らをここまで駆り立てるものは何なのだろう。凍傷で手や足の指を何本失っても、二人の山への情熱は消えない。山と人間。登られるものと登るもの。研ぎ澄まされたやいばのような緊迫感が、読み手にも伝わってくる。まさに「凍」の世界。圧倒されそうな作品だった。
2006.03.06 Monday 15:06 | comments(0) | trackbacks(1) | 
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