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2007.07.04 Wednesday  | - | - | 

『かもめ食堂』by群ようこ(LIN)

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よかったです。
最近の作家は何とか読者をびっくりさせようと
変わった設定にしたり、すごい事件を起こそうとしたりしますが
これはとてもフツー。
そのフツーさがいいです。

ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」
日本人女性サチエが店主をつとめるその食堂の看板メニューは
彼女が心をこめて握る「おにぎり」
けれども、お客はいつも、日本オタクのトンミ君ただひとり。
そんな「かもめ食堂」に、ミドリとマサコという、
わけありげな日本人女性がやってきて…


トンミ君の日本語がインチキくさくて、
実際にこんな日本語を話す外国人はいないだろうと思うけど
まあ、そこはご愛嬌ということで。
この小説におけるトンミ君の役は大切です。
映画でも、トンミ君役がうまいかどうかが
重要な鍵になるのではないでしょうか。

3人の女性がヘルシンキに来ることになったいきさつも
共感できました。
ただ、主役のサチエが小林聡美というイメージでは
なかったかなあ。

昨夜、NHKスペシャルで
「移民漂流10日間の記録」を見たのですが
現実の移民生活はもっとキビシイようです。
厳しい宗教審査を受けユダヤ教徒と認められ
イスラエルに移住するエチオピアの人々。
そしてそのイスラエルからドイツへの移住を希望する若者。
そのドイツは戦後最高の失業率に苦しんでいる。
なかなか興味深い番組でした。
明日火曜日の深夜、NHK総合で再放送します。
2006.01.30 Monday 17:52 | comments(1) | trackbacks(2) | 

高熱隧道(吉村昭) ・・・ゆこりん


昭和の初め、黒部峡谷では黒部第3発電所の電源開発工事が積極的に進められていた。この工事に必要な資材を輸送する軌道トンネルの工事も行われていたが、それは世界隧道工事史上きわめて特異な、そしてきわめて困難な工事だった。

工事をしている場所の岩盤の熱さは160度以上。放水しながらの工事でも、過酷さを極めた。人間が生きられる環境ではない。そんなところで人夫たちは昼夜を問わず働き続ける。転落事故、雪崩事故、ダイナマイトの自然発火による爆発事故などで、次々に犠牲者は増える。黒部第3発電所が完成するまでに犠牲者は300人を越えた。この犠牲者の数だけでも、工事がいかに困難なものであったのかが分かる。読んでいてただただ驚くばかりである。それにしても、自然というのは何と厳しいものか!決して人を寄せつけようとはしない。その自然に戦いを挑んだ人間たち。トンネル貫通が勝利と呼べるのか?素直に喜べない苦さが残った。
2006.01.30 Monday 16:15 | comments(0) | trackbacks(0) | 

99%の誘拐(岡嶋二人) ・・・ゆこりん


生駒洋一郎が、誘拐された5歳の息子慎吾のために支払った5000万円は、会社再建の大切なお金だった。それから20年の歳月が流れ、ある誘拐事件が起こった。被害者はリカードという会社の社長の孫の兼介。リカードはかつて、生駒洋一郎の会社を合併しようとしていた会社だった。はたして今回の誘拐は、20年前の出来事と関係があるのか・・・?

誘拐の仕方、身代金要求の連絡方法、身代金の受け渡し方法など、どれをとってもそれは驚くべき方法だった。決して警察に所在をつかませずに、ハイテクを駆使して動き回る犯人。1988年に書かれた作品だが、その斬新なアイディアは今読んでも文句なく面白い。警察と犯人の駆け引きは、はたしてどうなるのか?息詰まる展開に目が離せない。特に後半からラストまでの流れは鮮やか!読後感もよく、満足のいく作品だった。
2006.01.29 Sunday 15:54 | comments(0) | trackbacks(0) | 

此処彼処

此処彼処
此処彼処
posted with 簡単リンクくん at 2006. 1.16
川上 弘美著日本経済新聞社 (2005.10)通常24時間以内に発送します。
 このエッセイは日本経済新聞に2004年に毎週日曜日に連載されていました。毎週楽しみに読んでいたんですけど、こうやって一冊にまとまると、より川上ワールドが凝縮されて「ゆるーい」世界を満喫できます。

 川上さんとしては珍しく本当のことを沢山書いてくれてるんですが、真実は小説より奇なりを地でいく方なんですねぇ。

 新婚旅行で行ったマダガスカルから帰れなくなったり、銀座が怖かったり、映画館に男の子と一緒に行かれなかったり、なんだか妙なところがずれてるところが川上さんの魅力なのかな?

 買い物の時に荷物を乗せるカートに「にも」って名前を付けたり、日本橋高島屋の蛇腹式の扉のついた古い方のエレベーターが好きだったりするところもいいなぁ。変なところに凝るっていうセンスに親しみを覚えちゃいます。

 小説もいいけど、こういうエッセイもまた書いてくださいね。
2006.01.29 Sunday 09:38 | comments(0) | trackbacks(3) | 

砂漠(伊坂幸太郎) ・・・ゆこりん


大学に入った若者たちは、何を見て何を感じたのか?作品を春夏秋冬の4つに分け、彼らの生活を生き生きと描いた作品。

北村、西嶋、南、東堂、鳥井。一人一人の個性が光る。特に西嶋のキャラは圧巻。実際にいたら困るだろう、実際にいたら楽しいだろう。この二つの思いがある。四季の移り変わりの中、彼らの生活が鮮やかに描き出される。中にはとてもつらい季節もあったが・・・。全体を通して伊坂さんらしい作品だと思った。
「その気になれば砂漠に雪を降らすことだってできる!」
彼らならどんな望みも叶えてしまうのではないだろうか。そう思わせる情熱が、この作品には確かにあった。できるなら、私ももう一度大学生に戻りたい。
2006.01.26 Thursday 19:12 | comments(1) | trackbacks(5) | 

『遮断』 古処誠二 新潮社 (聖月)

遮断
遮断
古処 誠二
 今朝の讀賣新聞朝刊の“人生案内”が非常に印象に残った評者である。評者は、毎朝、新聞の全ての面を開いて眺めるが、そんなにつぶさに記事を読むわけではない。ただし、植田まさしの漫画“こぼちゃん”を読む確率よりは、人生相談コーナーといえる“人生案内”を読む確率のほうが高い。別に自分が人生に悩んでいるわけでもないし、他人の悩みに耳をそばだてたいのでもない。人生のケーススタディとして、自分の抽斗にしまいこむだけである。ふ〜ん、そんな悩みもありそうね、ふ〜ん、回答者としてはそういう回答が無難だよね、大体そんな感じで、抽斗にしまいこむ前に印象が薄れ、そのまま次の記事に意識が移ってしまうのことのほうが多いのだが・・・。

 今回の相談を要約すれば、大体こんな感じ。“40代男性。過去に大病を患い、これから先、長く生きられる自信もないが、20年とか生存する可能性もあり。つかず離れずの彼女は、結婚までは強く望んでいないが、自分の子供が欲しいという。母子家庭に対する憂いと、二人の間の問題と考える立場で悩んでいます。アドバイスをお願いします。”というもの。
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2006.01.24 Tuesday 14:30 | comments(0) | trackbacks(3) | 

リミット(野沢尚)  ・・・by ゆこりん


幼い子供が次々にいなくなる事件が発生した。そして、楢崎あゆみという7歳の女の子が誘拐され、犯人から身代金要求の連絡が!捜査を担当することになった有働公子だが、彼女の息子も誘拐されてしまう。彼女はわが子を救うため、警察官としてではなく母親として行動することを決心をした。

なぜ子供たちが誘拐されるのか?なぜ身代金の要求がないのか?そして、楢崎あゆみはなぜ身代金を要求されたのか?犯人たちの目的が明らかになるに従い、犯人たちへの怒りが大きくなる。お金のためなら手段を選ばない彼らのやり方は、残酷極まりない。そんな彼らに、公子は敢然と立ち向かう。その姿は、警察官というよりひとりの母親だ。文庫本で500ページとかなり長いが、作者は巧みな構成と筆力で、最後まで読者を作品に釘付けにする。サスペンスドラマを見ているような緊迫感があり、とても楽しめる作品だった。ただ、子供たちを連れ去る目的が残酷で、胸が痛くなる思いもした。
2006.01.23 Monday 16:37 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『フォー・ディア・ライフ』 柴田よしき (講談社文庫)


柴田 よしき / 講談社(2001/10)
Amazonランキング:67,533位
Amazonおすすめ度:
心にしみる
眠れなくなること請け合いの本



 <新宿で無認可保育園を営む探偵“ハナちゃん”こと花咲慎一郎が大活躍するハナちゃんシリーズの第1弾>

さすが稀代のストーリーテラー、柴田さんだけあって登場人物それぞれが個性的だけでなく生き方もドラマティック。
他のシリーズで大活躍のあの山内さんまでも登場、柴田さんのサービス精神ぶりにうっとりされた方も多いことでしょう。
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2006.01.21 Saturday 20:00 | comments(2) | trackbacks(2) | 

キッチン(よしもとばなな)  ・・・by ゆこりん


「私が一番好きな場所は台所。」
たった一人の肉親である祖母が死んでしまい、みかげは田辺家に引き取られることになった。祖母と田辺雄一との縁。雄一と雄一の母(?)えり子とみかげの奇妙な同居生活。みかげが田辺家の台所を通して見たもの、感じたものは?表題作を含む3編を収録。

泣けた。とにかく泣けた。大切な人を失う悲しみ、そしてそれを乗り越えなければならないつらさ。生きていくことの切なさ。どれも泣けることばかりだった。人は悲しみが深いと、自分自身を支えていくこともできなくなる。そんなとき、やさしく手を差し伸べてくれる人がいたら・・・。人の死がもたらす悲しみと、残された者の心の再生がとてもよく描かれていて、感動的な作品だった。
2006.01.15 Sunday 14:35 | comments(1) | trackbacks(1) | 

東京奇譚集(村上春樹) ・・・by ゆこりん


「まさか、そんなことはあるはずがない。」そう思いながらも心のどこかで「あり得るかも・・・。」と思ってしまう。そんな不思議な話を5編収録。

あり得なさそうであり得る話。単なる偶然と片付けるにはあまりにも不思議な出来事。そういうことを経験した人は、世の中にはけっこういるのかもしれない。いつもの日常生活の中にそれは何気なく存在していて、ある時ふっと現れる。怖いような気もするし、体験してみたいような気もする。科学では割り切れないものが、この世の中にはまだまだたくさん存在する。それはきっと人の心の中にも存在するものなのだろう。しばし日常を忘れさせてくれる作品だった。
2006.01.09 Monday 17:27 | comments(1) | trackbacks(6) | 
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