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2007.07.04 Wednesday  | - | - | 

『死を招く料理店』 ベルンハルト・ヤウマン 扶桑社ミステリー (聖月)

死を招く料理店(トラットリア)
小津 薫 / Jaumann Bernhard
扶桑社 (2005.2)
通常24時間以内に発送します。

いやいや、まことにもって素敵な本が翻訳されたものである。最初に言っておこう。ミステリーファンは本書『死を招く料理店』を読むべし、読むべし、べし、べし、べし。楽しむべしなのである。もう桜も散ろうかという4月上旬の終わりの日に、やはりもう今年のミステリーランキングなんかを早々と想起する評者なわけで、個人的には国内物では◎◎『笑酔亭梅寿謎解噺』田中啓文を、海外物では本書を1位に胸中据えて、あとは結果を待つのみという感じである。いや、これからも面白い本に間違いなく出会っていきますよ。出会うのだけど、“これって間違いなくミステリーだよね”という狭義の範疇においてはもうこれで決まりって感じでね。ミステリーっぽいエンタメ作品がランクインする昨今、逆にエンタメ度の高いミステリー作品は意外に少ないわけで、そういう意味で本書は間違いなくミステリーであるし、間違いなく読書中において娯楽性の高い素敵な小説なのである。
もっと誉めちゃうと、評者は国内の作品の中に筆力を感じることはあっても、海外の作品に筆力を感じたことはこれまでなかった。例えば◎◎『その名にちなんで』ジュンパ・ラヒリなんかも読みながら引き込まれていったが、評者が遣う場合の筆力という言葉は、もっと違う意味である。もっと積極的にグイグイ読者を引っ張るような感じである。舞城君とか、伊坂君とか、古川日出男君とか、町田康君とか阿部ちゃんとかね。とにかく、本書を読みながら、その筆力にグイグイ一気読みした評者なのである。ただし、150/400頁のあたりから。それまでは、ふ〜ん、まあまあ面白いやんけ程度だったんだけどね。

で、内容の雰囲気を伝えるために、またしても話を作ろう。ここは、とある高校の放課後・・・文芸部の芦部君は創作活動に余念がない。○『グラン・ギニョール城』の評判に気をよくした彼の次の作品も、作中作を活用した二つの並行物語である。主人公はドイツからローマに取材旅行に来た推理作家。表の世界では、その主人公の取材活動の日々が綴られる。そして、裏の世界では、その主人公がローマ滞在中に書いている推理小説の中身の物語が同時に進行していくって寸法である。そして、表の世界でも裏の世界でも殺人事件が起こり、最後にはふたつの世界がガッチャンコというグラン・ギニョール的二匹目の泥鰌話である。と、そこへ伊坂君が現れる。後ろからフムフムと眺め、“ねえ、僕が○『アヒルと鴨のコインロッカー』で使ったユーモアハードボイルド口調を人物たちの会話に取り入れたら、もっと面白くなるんじゃないかなあ”150頁目あたりから、素直にそういうことを取り入れる芦部君。実に素直である。そこに部長の村上春樹君が現れる。“これって、冒険がないじゃん。ほら僕が◎◎『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で使ったような地下の世界の冒険とか、そこに水がビャーッとみたいな、そんな冒険あってもいいんじゃないかなあ”。芦部君は素直である。取り入れる。そして舞城君“本格なんて誰でも書けるんだからさあ、そこを利用したワンランク上の話にして・・・あ、ついでに文章はもっとリズミカルじゃなきゃあ、うんうんそうそう”素直な芦部君。そこに町田康君“なんか、もっとハジケないと。あ、それと主人公はもっとダメ男にしたほうが受けるぜ、うくく、さて帰ってトンボ切ろう!”素直芦部君(^.^)。そして最後に芥川ホヤホヤの阿部ちゃん参上“自己投影!自己投影!だって作中作だろう。主人公が作中の主人公に自己投影して、僕が僕でキミが僕で誰が僕で僕は誰?みたいに形而上にしなきゃあ”素芦君部直???

ということで、本書『死を招く料理店』の出来上がりである。どうだ、わかったかい?えっ?わからなかった?じゃあ、読んでみるべし、体験すべし。

ところで、作者の名前からわかるように、著者はドイツの出身であり、本書は5作目にして初めて邦訳された素敵な小説なのである。ちょっとした5部作みたいな感じで、1998年には聴覚を題材に舞台はウィーンの作品を、1999年には視覚が題材で舞台はメキシコ、1999年には触覚とシドニー、2001年には臭覚と東京、そして2003年には味覚(料理)を題材としローマを舞台とした本書でグラウザー賞(ドイツ語で書かれた最も優れた推理小説)を受賞したわけである。前4作の邦訳が待ち遠しい。特に東京を舞台にしたこの作家の作品をすこぶる読みたい評者なのである。まずは本書を読むべし、読むべし、べし、べし、べし!(20050410)

※しかし・・・巷では全然話題になっていないような・・・
2005.04.10 Sunday 12:54 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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2007.07.04 Wednesday 12:54 | - | - |