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2007.07.04 Wednesday  | - | - | 

『九月が永遠に続けば』 沼田まほかる 新潮社 (でこぽん)

九月が永遠に続けば
沼田まほかる著出版社 新潮社発売日 2005.01価格  ¥ 1,680(¥ 1,600)ISBN  4104734012bk1で詳しく見る オンライン書店bk1

著者は56歳の女性で、これがデビュー作だと訊いている。表紙カバーは何かに追われるようにしてどこかへ逃げていく絵だ。題名からして救いがないような気がする。
頁を開いて読み始める。そして、あまりの巧さに仰天してしまった。そのまま一気に引き込まれ、気がついたら夜が白々明けて新聞屋のバイクの音が聞こえてきていた。
本作は第5回ホラーサスペンス大賞受賞作品である。

冒頭、離婚暦のある、高三の息子がいる41歳の女、佐和子が情事を終え、男の車から降り、ありふれた日常に戻っていくシーンから始まる。

頭の中で常に、著者が56歳と意識をしていたせいか、56歳が描く41歳の女の情事がどんなものか興味があった。これが抜群に巧い。主婦の日常の感覚と、そこから隔てられた別世界の出来事が違和感なく重なってくるのだ。

スーパーマーケットに入り、夕飯の買い物をする。日常生活に戻り、母親に返っていく。物語はまだ何も起こっていない。だが、何かが起こりつつある予感がしてくる。

「トマトの輪切りにベーコンと玉ねぎのみじん切り」をはさんで揚げたもの。それに、パセリのみじん切りふりかけていただくシーン。涎が出そうに美味しそうなのだ。高三の息子が嬉しそうに食べる。平和な家族の食卓である。

その息子がサンダル履きでごみを捨てに行ったきり、帰って来ない。理由が判らない。不安がどんどん増してくる。物語は、ここからラストまでの5日間が描かれる。

主人公・佐和子の不安、哀しみが、ひたひたと押し寄せてきて、読んでいる間中、胸が苦しくなってくるのだ。

何かがおかしい。これは普通じゃない。全てがおかしすぎる。戦慄が生まれ、疑惑が這い登ってくる。そういう佐和子のどんな感情も読み逃さないという想いで、家事や雑用の何もかもをほったらかして貪るようにして読んだのだった。

私たちが普段、自分とは絶対関わらないであろうと思う異常な出来事が、また人物がこの作品を通してリアリティを持って迫ってくるのだ。これこそ小説だという一冊である。

ラストは、またありふれた日常に戻っていく。和やかで、ほっとするシーン。思わず、くすっと笑ってしまった私がいた。
2005.03.15 Tuesday 11:55 | comments(5) | trackbacks(4) | 
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2007.07.04 Wednesday 11:55 | - | - | 
とおりすがり (2008/06/22 10:07 AM)
佐和子ではなく・・・佐知子さんですよ。
でこぽん (2005/05/31 1:07 AM)
>Rokoさん
どういたしまして。
楽しまれたようで良かったです。
Roko (2005/05/29 12:54 AM)
こちらの記事を読んで、面白そうなので読んでみました。
これは「アタリ」ですね。
とっても緊迫感があって気に入りました。
ご紹介どうもありがとう。m(__)m
でこぽん (2005/03/15 10:33 PM)
桔梗屋さん、どうもありがとう〜。。。
文章が抜群に巧いです。
楽しまれてくださいね。
桔梗屋 (2005/03/15 10:14 PM)
早速図書館で予約してきました。









九月が永遠に続けば
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九月が永遠に続けば/沼田まほかる
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