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My Recommend Books !みなさんのオススメの本を熱く語り合いましょう!
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『砂漠の船』 篠田節子 双葉社 (でこぽん)
『逃避行』が女が家を出て一人で暮らす話で満足のいく作品だったので、こちらも期待大だったのですが、見事に期待に応えてくれました。家族を扱った作品は本当に力強くて巧いですね。特に女性の描き方は秀逸です。今回は高校生の茜が、好き嫌いは別として読ませてくれましたし、働く女性の本音には大いに共感を覚えました。終盤は読み応えがあって目が離せなかったです。
家族構成は、多摩ニュータウンの公団の賃貸2DKに住む早大卒の両親と娘。主人公の幹郎は運輸会社の地域限定勤務員。妻、由美子はデパートのフルタイム勤務。娘、茜は同人誌を売る高校生。 出稼ぎ家庭で淋しい子供時代を過ごした主人公が、地域に根ざした生活、何があっても家族とともに暮らしていく生活を送るために、単身赴任を断り地域限定勤務社員になって必死で家庭を守ってきたつもりが、徐々に崩れ落ちていく様子がリアルに描かれています。 ミステリ仕立てで、数々の謎を絡ませながら家族の崩壊を描いていきます。良かれと思って決断してきたことが、どんどん思惑とは逆の方向に進んでいくのは、ある意味ホラーのようで怖かったです。この謎の部分が非常に興味深くて、家族との関わりに絡んで全編を引っ張っていきます。 単身赴任って、今の日本じゃ当たり前のことでしょ。なんで今更と思ってしまったのですが、その当たり前の単身赴任を何度も断って、家族と常に一緒の生活を選んだ行き先が家族の崩壊だったら、男はどうしたらいいのでしょうね。結局、自分の思い込みを相手に押し付けるべきではないし、幸せというものは人それぞれなんだなと思うのでした。 ところで、篠田さんが八王子在住のせいか、その近辺が出てきて面白かったです。茜が大学受験のため予備校の早慶コースに入り模試を受けるのですが、偏差値が都立大や国立の教育学部はもちろん駄目で、工学院や東海大にも及ばない、とあったので、ははあ〜ん、篠田さん、近くの八王子の大学を挙げたのね、と思ってニヤニヤしてしまいました。八王子を愛してるのね。 あと、これは本筋とは関係ないのですが、ちょっと引っ掛かったことがあります。早稲田を出ている両親の一人娘の受験に対する考え方ですが、これはないだろうと思うのでした。専門学校でもいいとは思わないでしょうし、少なくとも四大にはいってほしいと思うものではないでしょうか。 Comment
でこぽん (2004/11/18 1:08 AM)
ココさん、こんばんは。
面白かったですねー♪ これは女性が読むと、そうそう、そうなのよねー、 こんなダンナや父親なんていらないわーって思うんじゃないかしら。 友人も面白い面白いと言って、二人で大騒ぎでした。 主人公は、きっと今でもどうして愛想を尽かされたのか、 分かってないんじゃないかと思います。 そうですか。 私の中では、重松清って、よく分からない作家になっています。
ココ (2004/11/17 11:40 PM)
でこぽんさん、こんばんは。
この本、たいへん面白く読みました。 娘の茜が、本音を父親に吐露する前から、ひしひしと気持ちが伝わってきました。 どうして、茜の考えていることがまったく理解できないのー!って・・・。 もちろん私も茜のこと、好きにはなれませんけれども。 重松清っぽかったです。
でこぽん (2004/11/04 10:05 PM)
聖月さん、こんばんは。
本書の主人公は42歳です。聖月さんと同世代ですよね。 ご家族と離れて暮らすのは本当に辛いですよね。 単身赴任とか物凄い残業なんていうのは、子供がまさに親を必要としているときが多いように思います。たいていの人は不本意だけど会社に従っちゃうわけです。主人公は自分の信念を貫いて単身赴任を断るのですが、そうして選んだ先にあるものが幸せではなかったというのでは、本当に何を選んだらよいのか迷ってしまいますね。 人生って、時々何が幸せなのか分からなくなります。 奥様は正しいです。私の友人は全員教育ママです(笑)。年長の友人と話しましたが、彼女(阪大卒)が言うには、「父親はのほほんとしてるけど母親は違うわよ。自分の学歴より下でもいいなんて考えないわよ。まあ、だからと言って親の希望通りの大学に行ける訳ではないけどね」だって。あははは。
聖月 (2004/11/04 5:41 PM)
でこぽんさん こんにちは
単身赴任、身につまされますねえ。 私の場合、今年の4月まで鹿児島のそこそこの企業に。 家族とずっと一緒に住むはずで、家も建てました。 でも、今この年で少しステップアップしたくなって、 自ら単身で東京へ。勿論、家族の理解あってのことですが。 たまに、この生活、間違ってないかい?いや弱気がそう思わせるのだ、 なんて自問自答しています。 娘の進学。 勉強したいなら4大。 そうじゃなきゃ短大でも専門でもOK。 ただ、嫁さんはそうは思っていないようですが。 最近、お受験ママみたいな雰囲気もチラホラ(笑) Trackback
公団なんですが、現在では公団という呼び方をしていません。公団は現在、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構、通称UR)という組織になっています。度々名称が変わっていますが、いわゆる公団です。現在の名称になったのは2004年です。始まりは「日本住宅公団」
| 公団の賃貸がお得 | 2007/02/10 12:56 AM |
ページターナーと言えばこの人、な小説家・篠田節子。今回は中年男性が主役で、どうも私の好みではなかったのだな。この人の本は女性主人公の方がイケイケで面白いように思う。男が主人公だと、「ゴサインタン」のように周りもひどいが主人公も悪いだろ、みたいなスト
| PNU読書 | 2004/11/27 9:18 PM |
篠田節子新作「砂漠の船」を読みましたよ。篠田節子の家族モノって他には何があったかなぁと考えてみたら、「逃避行」くらいしかぱっと思いつきませんでした。最近は家族にシフトチェンジなの?
テンポも展開もスピーディーでさくさくさくっと読めますが、暗い内容で
| f丸の生態・デイリー | 2004/11/21 6:40 PM |
砂漠の船
篠田 節子
家族というものの崩壊の一例。
妻や娘にもそれぞれの価値観があるということを、理解あるふりをしながらほとんど念頭に置かず、自分の信念に沿って生活してきた幹郎。
家族はとにかく一緒に、そして娘には平凡でも人の役に立つ職業に就いて
| 本を読むって楽しい | 2004/11/17 11:34 PM |
Counter: 2052, today: 11, yesterday: 27 篠田節子 † 名前:篠田節子(しのだせつこ) 【blogmap|ウィキペディア|はてなキーワード|bk1|ブクログ|Google】 生年月日:1955年10月23日 出身地:東京都八王子市 受賞歴:『絹の変容』で第3回小説すばる新人賞(19
| PukiWiki/TrackBack 0.1 | 2004/11/15 2:03 PM |
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男の人にはわからないのかな?
この主人公、最低の男ですよ。
おしつけがましさに、ぞっとしました。
(文庫版で初めて読んだので、
レビューとのタイムラグ、すごいですね。)