[ - ]
一定期間更新がないため広告を表示しています
My Recommend Books !みなさんのオススメの本を熱く語り合いましょう!
|
|
『卒業』 重松清 新潮社 (トラキチ)
今月7本目ですが活性化のために投稿させていただきます。
《新潮社 作家自作を語る》 重松さんの“集大成的な作品集”である。 現時点での最高傑作であると信じたい。 4編からなる“死”をモチーフとした中編集である。 主人公はみな40才前後。 それだけ誰もが人生の折り返し地点を過ぎ背負ってるものも大きいことの証拠かな。 前半の2編ではこれから受け入れなければならない親の死を・・・ 後半の2編では遠い過去の親友と母親の死を・・・ 従来の重松さんの作品は“身につまされる”話であったが、本作でのテーマは“人生において避けられない”テーマである。 そこに本作のスケールの大きさと重松さんの成長が窺い知れる。 読み終えた人は本当のテーマは“前向きな人生”であることに気づくはずだ。 最近涙腺が弱くなった。 重松さんの紡ぎだす4編の物語に心を震撼させられた方は涙なしには本を閉じれないはずだ。 涙を流すことによって“希望”と“勇気”が味方についたような気がする。 明日からの人生を“少しでも恥ずかしくない人生を送りたい”と肝に銘じたい。 “テーマは重いけど重松作品を読むと読者の肩の荷が軽くなる” 重松作品の最大の魅力である・・・
★まゆみのマーチ
主人公は40才の幸司。妻と中学生の息子との3人家族で東京在住。 母が死の直前のために実家に帰る。幸司の妹は“まゆみ”という名で、神戸に住んでいる。 まゆみは小学生の頃、ある出来事で登校拒否していた。現在の幸司の息子の亮介も似た境遇なのでありし日の母親の姿勢と、自分の亮介に対する接し方とをどうしても比べてしまうのであった・・・ なんといっても死の直前の母親の病室内で、まゆみの小学生の時のエピソードを回想するシーンが胸を打つ。親になってこそわかる子に対する深いまなざしを上手く描写しています。是非「まゆみのマーチ」読まれた方のお子さんにも歌ってあげて欲しいです。(その時は“○○○のマーチ”となりますが(^。^)) 主人公の子供の時も大人になった今も、少し後悔をまじえて語ってるのですんなりと受け入れられました。現実に少しでも不安な問題のある方が読まれたらきっと多少なりとも心を癒してくれる作品だと思います。 主人公の年代層(40歳)にとって避けられない子供のしつけや教育問題、あるいは親の介護。とっても考えさせられます。特に子供の数が少なくなってきている昨今、いつも身近に病床の親のそばに子供が居てあげる事が出来ない状況が多いので、とってもリアルな話として読み取れるでしょう。 親の子に対する愛情を強く認識した主人公、人間的にも成長のあとが覗えます。これから自分の子供に対して自分が受けた以上に愛情を注ぐことが出来るでしょう。最後が前向きなんでとっても微笑ましく感じましたよ。 ★あおげば尊し 主人公は40才。小学校の先生をしている。ガンに冒され死を直前に控えた父は元高校教師。厳しさをモットーとしすぎた為に、教え子は誰もお見舞いに来ない。その父を自宅で引き取ることとなるのだが・・・ またまた心に響く作品である。なんといっても主人公の教え子の康弘君がいい。少し複雑な家庭環境であることが後半わかってくるが、この少年がある意味で物事をまっすぐに捉えてるところが主人公と共通している点が見逃せない。 重松さんの主人公はおおむね少し気が弱くてお人よしだ。一方で頑固で情が深い面もある。エンディングでいつも一歩成長した姿を見せてくれる。そこがある時は微笑ましくある時は涙を誘う。 小説を通してリアルに読者に問題を提起してくれる。今回は“親の死”によって“親を看取る”という誰もが経験しなければいけないシチュエーションを用意してくれた。 主人公は父の病状を自分の生徒たちに見せてあげます。確かに教育者としては間違ってるかもしれないという気持ちを持ちながらも、父の人生自体を正当化します。最後の親孝行といったらいいのでしょうねきっと・・・ でも残ったのは康弘君だけでした。 父の最後の教え子である康弘君、願わくばずっと『あおげば尊し』を歌ってほしいものだ。 ★卒業 主人公の渡辺は40才で課長代理。ある日突然、亜弥という中学生が会社に訪れる。彼女の亡き父親はかつての親友で彼女が生まれる前に自殺をした伊藤であった・・・ 古くからの重松ファンは感慨深い作品かもしれない。 重松さんも本作の中で最も思い入れの強い作品であろう。 文庫本の『ナイフ』のあとがきに書いているS君のことがオーバーラップされた方も多いことだと思う。 悲しみを背負いつつ生きて行く亜弥ちゃんの気持ちと、過去の親友を知りつつも自分の身の周りの変化(リストラ)に戸惑う主人公の葛藤。 あるいは現在の父親である野口さんの心の葛藤など・・・ 途中でイジメにあってる亜弥ちゃんと春口とカラオケを楽しんでいる若い女の子、対象的なようなんですが紙一重かもしれません、実際は・・・ きっと亜弥ちゃんも幸せだし、亡き父親の伊藤も親友に恵まれて天国で喜んでいる事でしょう。 読ませどころが多いというか本当に問題提議の出来ている傑作短編だと言えるでしょう。 私の拙い文章では伝えきれないのが非常に残念である。 ★追伸 個人的には本作において最も感動的な話である。 主人公の敬一は現在40才で作家を営む。6才の時に母親がガンで亡くなった。父親は数年後に再婚し新しい母親が出来たのであるが、敬一の心の中では母親はひとりしかいない。いつも母親が病院で書いた日記を心の糧として生きていたのである・・・ とにかく敬一とハルさんの少年時代からの“確執”がいかに“和解”し“心を開きあう”かを見事に紡いでいる。 本作は血のつながりの重要性を謳っているのではない。むしろ、私たちが忘れている“本当の心の触れあい”の大事さを教えてくれている。 敬一の妻の和美の“出来た妻ぶり”も印象的だった。 不幸事が続く物騒な世の中、私たち日本人が忘れかけていた大切なことを重松清が思い起こさせてくれます。 とても胸の詰まる作品でありますが、必ず光明を見出すことが出来るので未読の方は是非手にとってもらえたらと思っております。 Comment
キー (2008/08/04 4:27 AM)
ショートコメント
カワセン (2006/12/03 10:18 AM)
初めて、訪問しました。
「卒業」読みました。 「ビタミンF」「きよしこ」「流星ワゴン」などで重松さんの作品が好きになりました。 トラキチさんの書評、いいですね。 TBします。
トラキチ (2005/08/20 1:42 PM)
リサさん、こんにちは♪
お返事遅れました。 重松さんの最新刊『その日のまえに』を読み終えましたが、これも素晴らしいです。 『卒業』よりちょっと軽めのさじ加減がなんとも言えません(笑)
リサ (2005/08/15 4:59 PM)
トラキチさん、こんにちは!
重松さん2作読んだだけですが、すっかり好きになりました。 この『卒業』もいずれくるだろう事を思い涙涙でした。思春期の子供を持つ親としても身につまされます。 もっともっと重松作品に出会いたいです。 オススメ下さった作品、読んでみますね。楽しみです♪
トラキチ (2005/07/20 7:12 AM)
Ahahaさん、おはようございます。
重松さんの作品、機会があれば是非お読みください。 あと、メンバーに登録させていただきました。 これからメールさせていただきます。
ahaha (2005/07/19 1:48 AM)
こんばんは。
読んでみたいという気持ちにさせられる、熱いレビューをトラックバックいただいて、有難うございます。 重松清さんのご本はすごくいいとよく聞くのに、直木賞受賞以前の作品を2−3作読んだだけになっていました。 本当に有難うございます。 こちらからもトラバさせていただいてもいいですか・・・。
トラキチ (2005/07/16 2:03 PM)
rukaさん、こんにちは♪
コメントありがとうございます。 この作品は私も思い入れが強く(雑誌掲載時から読んでました)、じっくり感想を書いた記憶があります。 他にも素晴らしい作品がたくさんありますので是非手にとって欲しいなと思います。
ruka (2005/07/14 11:32 AM)
トラキチさん、初めまして。
私は昨日この本を読み終わりました。 重松さんの作品は初めてだったのですが、すごく良かったです。 トラキチさんの感想は素晴らしいですね。 私が感じたこと、言いたかったこと、全て語り尽くされています。 私もこんな文章が書ければ良いのですが・・・無理なようです(^^; TBさせて頂きました。 また遊びに来させて頂きます♪
トラキチ (2005/03/05 2:32 PM)
りーふぃさん、こんにちは♪
いい時期に読まれましたね(^。^) もう卒業シーズンとは縁遠い私ですが、本作を読むと“人生を直視”させられたような気がします。 お友だちにも是非オススメください。
りーふい (2005/03/03 11:47 PM)
トラキチさん、こんばんは☆
卒業シーズンにちなんで読んでみました。 もう、ぼろ泣きです・・・・。 悲しさの中にある人の温かさというか、体温みたいなものを感じました。 重松サン、いいですねっ♪ 先生になる友人にぜひとも読ませたい作品です。
トラキチ (2005/03/01 12:12 AM)
じゅびさん、こんばんは♪
コメント&TBありがとうございます。 私自身もかなり刺激を受けてます(^。^) なかなか読みきれないのですが・・・
じゅぴ (2005/02/28 12:17 AM)
トラキチさん はじめまして
TBありがとうございました。 沢山の興味深い本が紹介されていますね。 少しずつ 楽しみにブログを読ませて頂きます。 良き出会いが出来たきっかけの重松さんに感謝です。
トラキチ (2004/10/31 1:43 PM)
ルアーナちゃん、こんにちは♪
『卒業』読まれたのですね。 現在のところ私の2004年ベスト本です。 たしかにお若い方が読まれたら「あおげば尊し」が一番身近かもしれないな。 私たちが若い頃漱石や太宰に教わったことを、今の若い方が重松さんの本を読まれて感じ取られたらと思っております。 良い人生の教科書となればいいね(笑)
ルアーナ (2004/10/31 12:16 PM)
「卒業」ちょうど数日前に読み終えたところでした。
重松作品から離れられなくなっております。 わたしはこの4編のなかでは「あおげば尊し」でうるっときてしまいました。 感想は書いていないのでトラックバックはできないのですが、 ついついコメントしてしまいました。 今は「半パン・デイズ」読書中です。 Trackback
小説「卒業」を読みました。
著書は 重松 清
4つの短編からなる構成
それぞれ独立した話ですが、死というのがテーマかなぁ
どの話も素晴らしかったですね
重いながらも ドラマとして読ませます
これは 感動しましたね...
| 笑う学生の生活 | 2010/05/14 12:02 AM |
重松清「卒業」を読んだ。 この本は、4つのやや長い短編集。Amazonでも評価は高かったので気になっていた本だ。「生と死」「ゆるすもの、ゆるされるもの」「親と子」がテーマになっている。そして、それぞれ40歳前後の主人公が何かを「卒業」する。「
| りゅうちゃんミストラル | 2009/02/27 8:03 PM |
あおげば尊しposted with amazlet on 08.02.23東宝 (2006/06/23)売り上げランキング: 40625Amazon.co.jp で詳細を見る
末期癌の父を在宅看護する教師一家と、
死に関心を持つ生徒の交流
個人評価 ★★
| cinema days 『映画な日々』 | 2008/02/23 6:47 AM |
TB失礼します。私のいる田舎では、子供のことを「わらす」(わらし)と呼ぶ。ま、それはどうでもいいのだが、仕事上で子供たちと関わることがあるため小学校へ行ったりもする。
| 田舎暮らし白書 | 2007/05/20 9:21 AM |
有名な直木賞作家の本で、4作をおさめた中編集の文庫本です。家族の死、友人の死などの重たいテーマを、さらりと、でも深いです。
| たび☆めし☆うま BLOG | 2007/04/26 3:31 AM |
この何年か前から特に気になっていること質問します。私が、古いのかもしれませんが、とても気になることです。今の若いお父さん、お母さんは、どうして子供を叱らないのですか?例えば、どこかのスーパーで、お友達にお母さんが会ったとします。そこで、立ち話が始まり
| 北海道、札幌からの旅情報 | 2007/03/19 8:37 PM |
突然ですが、僕はいま月収がかなりあります。去年の途中から200万以上それがすべて携帯アフィリを起点として生じるものなのです。その方法を教えてあげましょう。ただひとつ条件があります。どうしても知りたいと思う人だけにしか教えま...
| 最新情報 | 2007/03/10 1:28 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2007/02/13 4:02 PM |
卒業
またまた重松清です。案の定、涙しました。年のせいで涙腺が緩くなっているのかもしれないけれど、重松作品は僕の心の琴線に強く響くのです。重松作品を読むときはいつも、自分が主人公になったかのような気持ちになってしまう。そこで自分を投影して、また涙す
| 不惑への道(The Road to 40) | 2007/01/05 5:35 PM |
あるものを「卒業」しなければ、前に進めない状況ってあると思います。
心の整理をする、けじめをつける。
「卒業」は「捨て去ること」でも「逃げてしまう」ことでもない、懐かしむことができるものとして、けじめ
| カワセン日記 | 2006/12/03 10:23 AM |
「卒業」という言葉を聞くと、貴方は何を思い浮かべるだろうか?
私は学校の卒業式。それしか思いつかない。
この本は、そんな視野の狭い私に、色々な「卒業」を教えてくれた。
| ハジけて学べ! | 2006/02/23 7:14 PM |
REVIEW
ある日突然「僕」を訪ねてきたのは、
自殺した親友のひとり娘だった
少女の手首にはリストカットの傷跡が…
表題作ほか、それぞれの「卒業」に臨む4組の家族の物語
・ まゆみのマーチ・ あおげば尊し・ 卒業・ 追伸
IMPRESSION
「ナイフ」
| 物事のたて・よこ・ななめ | 2005/11/03 2:22 AM |
卒業重松 清新潮社2004-02-20by G-Tools
ある日突然「僕」を訪ねてきたのは、自殺した親友のひとり娘だった。少女の手首にはリストカットの傷跡が…。表題作ほか、それぞれの「卒業」に臨む4組の家族の物語。
「まゆみのマーチ」「あおげば尊し」「卒業」「追伸」の4
| ひなたでゆるり | 2005/08/15 4:55 PM |
今年3月に、初めて行なった「人前で読んではいけない」。
2−3ヵ月後にまたよろしく、と書きましたのに、もう7月中旬になりました。
第2回を、やってみたいと思います。
泣いてしまったり、爆笑してしまったりするから、人前で読むのは避けたほうがいい。
| ◆Ahaha堂本舗◆ | 2005/07/19 1:53 AM |
重松さんの著書を初めて読みました。中編が4つ。どの話も心にジンとくるものばかり。全編を通して語られるのは、親の死です。今まさに、私自身が親の死に向き合っています。主人の母ではありますが、病院で寝たきりです。一日置きに往復3時間かけて病院へ通う日々。冒
| *読書の時間* | 2005/07/14 11:31 AM |
以前に「流星ワゴン」の感想を載せた時、他には「卒業」がおすすめです。という書き込みをいただきました。気にはしていたのですが、さらに気にしていた本もあり・・・(笑 で今回。4つのお話がありますが、私が一番ぐっときたのは「まゆみのマーチ」この話と次の「あ
| なほまる日記 | 2005/04/21 1:09 PM |
卒業重松清著出版社 新潮社発売日 2004.02価格 ¥ 1,680(¥ 1,600)ISBN 4104075051ある日突然「僕」を訪ねてきたのは、自殺した親友のひとり娘だった。少女の手首にはリストカットの傷跡が…。表題作ほか、それぞれの「卒業」に臨む4組の家族の物語。『小説
| 本のちいさな花束 | 2005/03/07 2:39 PM |
卒業
重松 清
私にとってはじめての重松作品です。
直木賞をとったこともある有名な作家であることは知っていてのですが、なか×?読む機会がなくて・・・・・。
今回、初めて読んでみました。
もう三月ということで、卒業式もあることだろうしネ。
(愛知県の
| 図書館で読書 | 2005/03/03 11:37 PM |
部屋に花があると 気持ちが和みますね 季節がら タイトルにも惹かれて購入しました。 ダウンしていた私よりも先に息子が読んでしまいました。 「あかんわ。ちょっと泣きそうになったわ」と感想を話してくれました。 息子には沢山本を読んでもらいたいものですが、
| 心のレンズ in京都 | 2005/02/28 12:21 AM |
『いとしのヒナゴン』に続き、『卒業』を読んだ。
『まゆみのマーチ』『あおげば尊し』『卒業』『追伸』の4つの短編から成る。
それぞれで親の死をテーマに、バーンアウト、リストカットなどといった社会問題が絡む。
とってもシンプルな家族のものがたり。
ごく一般
| Daily Bubble | 2005/02/14 11:46 PM |
『命』をテーマに4つの家族が何かを『卒業』し、新しい一歩を歩みだす中篇四編。
どれもが、『親の死』を通して大切な事を教えてくれる。
物語の人物だけでなく、自分自身にも置き換えられる思想、悲しみ、苦しみ。
もし、自分がこの立場なら・・・・とつい考えてし
| かみさまの贈りもの〜読書日記〜 | 2005/01/24 8:48 AM |
ある日突然「僕」を訪ねてきたのは、自殺した親友のひとり娘だった。少女の手首にはリストカットの傷跡が…。表題作ほか、それぞれの「卒業」に臨む4組の家族の物語。『小説新潮』掲載に加筆して単行本化。
うっかり電車の中で読んで少し泣けた。個
| かえでの煩悩日記 | 2004/11/08 11:41 AM |
|
(C) 2024 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.
|