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2007.07.04 Wednesday  | - | - | 

『スコーレNo.4』 宮下 奈都 光文社 (chiekoa)

4334925324スコーレNo.4
宮下 奈都
光文社 2007-01-20

アンソロジー「コイノカオリ」や「エソラ」で見かけてずっと気になっていた、宮下奈都さんの単行本がついに出ました!しかも書き下ろし長編です。うれしいです。装丁もステキで、うれしくなってしまいます。表紙も裏表紙も、じっくり見てしまいました。

スコーレっていうのは、 ギリシャ語でスクール(school)の語源だそうです。でもこの本で描かれているのは、いわゆる入学して卒業するあの「学校」だけじゃありません。何かを、学ぶ場所。ものごとを知る場所。それは家庭だったり、職場だったり。場所だけじゃありません、人から学ぶことだって、たくさんたくさんある。

この本は、そういう場所や人々を通じて成長していく、一人の女性の物語です。小さなときは、両親や家族や兄弟がその世界の全てだった少女が、だんだんに時を重ねるにつれて、広い世界で様々なことを知っていく。自分自身ですら気づいていなかった、「自分」を知っていく…。その過程が、落ち着いた静かなテンポで語られていきます。

主人公は、骨董品店の三人姉妹の長女として生まれた麻子。何かに「執着」するということ、何かを「愛す」ということ、強い気持ちで何かを「欲しい」と思うこと。それができないと思っている自分自身の、その頑なさや、抱えている寂しさ。「寂しい」という言葉を彼女が直接使うわけではないけれど、でも、なんとなく、こう、わかる気がするというか、染みてくるというか、麻子の感じている「気持ち」が伝わってきました。読んでいて、胸がしくしくしました。もうちょっと、自分を好きでいていいんだよ、そんなふうに思わなくていいんだよって、何度も思いました。

だから、この物語のこのラスト、とってもとっても、うれしかったです。私の心にも、何か新しいものが芽生えたみたいな気持ちになれました。笑顔になれました。正直、読んでいる最中に、自分がラストでこういう気持ちになるって予想をしていなかったので、びっくりしました、いい意味で。

「スコーレNo.4」、麻子にとってのそれは、何だったのかな。私にとってのそれは、何なのかな。そんなことに思いを馳せました。これからだって、きっとまだまだ…。オススメです。
2007.01.25 Thursday 13:26 | comments(0) | trackbacks(3) | 

『十一月の扉』 高楼方子 新潮社 (chiekoa)

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高楼 方子
新潮社 2006-10

双眼鏡で外を覗いていて、偶然素敵な洋館「十一月荘」を見つけた中学二年の爽子。転勤で引越しが決まっていた家族を説き伏せ、転校前の数週間だけ十一月荘に下宿することになった爽子は…。

うわー、すごくいい本でした。すてきな本でした。すごくいい本でした。すごくすてきな本でした。書きすぎ?でも…ほんとにすごくいい本だったんです。

本屋さんで見かけて、なんだかこの本が私を呼んでいる気がする…と思いつつ、読んだことのない作家さんだし、と躊躇すること約1ヶ月。でもこのタイトルなんだから11月中に買わねば!と思いたち、ぎりぎり11月最終日に買って、その日のうちに読みました。読んで、1ヶ月もこの呼ぶ声を無視していた自分を…バカだ!と思いました。

主人公は中学二年生の女の子・爽子。2ヶ月の間だけ「十一月荘」で暮らすようになった女の子。彼女と、彼女をとりまくほかの住人たちのあたたかい交流、そして、彼女が手に入れた一冊のノートに書き綴る『ドードー森の物語』…。この本の中で語られる爽子の心の動き、そしてその健やかさに、心が洗われたようになりました。いい年して、こんなずーっと年下の女の子に…って思われるかもしれませんが、私はすごく爽子に励まされました。バカみたいに単純だけど、「未来はきっと明るい」って、信じる力をもらいました。

たくさん、たくさん、たくさんの大人に、そしてやっぱり何よりも今大変な思いをしている子供たちに、読んで欲しいなぁと思います。
2006.12.01 Friday 16:28 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『スノードーム The Speed of the Dark』 アレックス・シアラー 求龍堂 (chiekoa)

4763005014スノードーム
アレックス シアラー Alex Shearer 石田 文子
求龍堂 2005-01

ある日、若い科学者クリストファーが姿を消した。彼はひたすら「光の減速器」の研究を続ける、ちょっと変わった青年だった。失踪の際、彼は同僚のチャーリーにある原稿を残した。そこに綴られていた、不思議な物語とは…。

図書館で見かけて「あ!『チョコレート・アンダーグラウンド』の人だ!」と思って手に取りました。そして手にとってみたら、息を呑むようなきれいな装丁…迷うことなく借りました。そして読みました。

読んでみたら、『チョコレート〜』のイメージで想像していたのとは全然違う物語でした。ああいう風な、わくわくしたりどきどきしたりする楽しい物語とかではなくて、胸がぎゅうぎゅうと締め付けられるような、そう、締め付けれられてほんとうに痛くなるような、切ない切ない物語でした。これは「愛」の物語です。

人が人を愛するということ。その気持ちを受け容れてもらえなかったときの、あの行き場のなさ。それが呼んでしまったこんな「事態」と、その「事態」を受け入れ、そしてこんなふうに対応していく気持ち…。何度も泣きそうになりました。彼がしたことは、正しいことじゃない、決してそうじゃないけれど、でも、私にはわかる。きっと、誰にもわかるんじゃないかな…。認めたくないけれど、心の中に、きっとあるんじゃないかな…。

男と女の愛、親子の愛、そうじゃない、全くの他人である人と人の間の愛。誰かとの間に関係を築いていくということ。その感情の名前。「愛」のかたちはきっとさまざまで。でもそれぞれが大切で、愛しくて、なくせなくて、そしてちょっと心に痛くて…。

とてもとても、オススメです。
2006.10.25 Wednesday 12:01 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『ひかりをすくう』 橋本 紡 光文社 (chiekoa)

4334925081ひかりをすくう
橋本 紡
光文社 2006-07-21

グラフィックデザイナーの仕事を辞め、同居人の哲ちゃんといっしょに田舎に引っ越した智子。そこでの彼女の生活は…。

流れ星が消えないうちに』がなかなかお気に入りだったので、新作を読んでみました。うーん、やっぱりいいです。わー!とかきゃー!とか、そういう熱い気持ちじゃなくて、なんというか、ほんわかと、いいなぁと。好きだなぁと。春みたいな気持ちです。

生きていくってことは、わりと大変で、迷って悩んで答えを出しても、またその答えに迷ったり悩んだりしてしまって。でも、それでもやっぱり人は生きていくんだし、生きていくうちにはすばらしい瞬間が待ってたりする。そういう、本当につらいときには信じられなくなってしまいそうな「ひかり」を、信じさせてくれるような、見つけさせてくれるような、そんな本でした。

表紙もとっても素敵です。この画像じゃわからないと思うけど…。左上の青いのは、ただの青じゃないんですよ。右上の紫も、ただの紫じゃないんですよ。本屋さんで見かけたらぜひ手にとって確かめてみてください。きっとにっこりしちゃいます。

あと、中に登場する「お料理」たちがすごくおいしそうです。人間の体は食べ物でできてるんだっていうこと、ご飯を食べておいしいって思うことが、そう思えることがどれだけ大切かっていうこと、そんなことにも思いを馳せました。

お金のこと、仕事のこと、周りの人のこと、病気のこと。現実は、こんな簡単にはいかないのかもしれないけれど、でも、それでも。がんばってる人に。そして、がんばってがんばってがんばってしんどくなってしまった人に。きっと読んだら、心にあったかい「ひかり」がともると思います。オススメです。
2006.09.22 Friday 18:17 | comments(0) | trackbacks(0) | 

イレギュラー 三羽省吾 角川書店 (chiekoa)

4048736906イレギュラー
三羽 省吾
角川書店 2006-06

住んでいた村が水害で壊滅。避難生活を余儀なくされ苦しい生活の中、練習もままならない蜷高野球部。そんな蜷高の野球部監督に、練習場所を提供しようと話を持ちかけたのは、センバツ出場も果たした地元の名門野球部K高の監督。彼の目論見は…。

これは…大ヒットです!ホームランです!ただでさえ青春モノが大好きな私。それにくわえて高校野球ときた日には!!(毎年毎年テレビでみまくり、泣きまくり)。もうこの表紙からして私の心をわしづかみです。

私は弱虫なので、「現実的じゃなかろうが、できすぎだろうが、私の望むところの完全なるハッピーエンド」で終わるのが実は一番好きなのですが、この本はそうじゃないところが、そこが逆にぐっときてよいというか、だからこそよいというか、こう、なんというか、上手くいえないのですが、胸にズキズキきて、もうとっても最高に好きです。(興奮のあまり文章がやや乱れております)。

高校野球の話ですが、スポ根…というのとはちょっと違う、でも愛すべき野球バカたちの物語。もう思わず顔が赤くなりそうな青い青い感じが!いいいです!いいですねぇ。(って年寄りの感想)。登場人物のキャラクターもみな非常によく、とくに狭間くんの脳内一人突っ込みと、和尚のカクシャクっぷりには、何度も声を出して笑わせてもらいました。最高です。

笑って、泣いて、きゅんとして。実際の夏の高校野球は終わっちゃいましたけど、ここにはまだまだ暑い夏があります。声を嗄らして応援したい人々がいます。さぁ、みなさま、ごいっしょに!
2006.09.04 Monday 11:31 | comments(0) | trackbacks(3) | 

『瞳の中の大河』 沢村 凛 新潮社 (chiekoa)

4103841044瞳の中の大河
沢村 凛
新潮社 2003-07

貴族の血をひくものの、出生に複雑な事情をかかえるアマヨク・テミズは、軍学校を卒業し、西の駐屯地へ向かう小隊の隊長として赴任する。そこでアマヨクに下った命令は、王家の宝を盗んだ者たちの捜索だった。アマヨクは、野賊の6頭領のひとり、オーマの仕業であることを直感するも、逆に盗賊たちの策略にはまり、捕えられてしまう。伝説の野賊として名高いオーマとの出会いをきっかけに、アマヨクの波乱に満ちた運命が幕を開ける。

ひと言で言って、名作だと思います。心から。どうしてこの本、有名じゃないのでしょうか!!!こんな表紙だから??惜しいです。すごくいい本でした。

読み始めは、若干つらいものがありました。分厚いので「先が長いなぁ」というのと、登場人物の名前が覚えられないのと…(←これは完全に自分のせいですが)。でも、読み進めるにつれて、どんどんこの世界にはまり込んでいく自分がわかりました。アマヨクに魅入られていく自分がそこにいました。これぞまさに「大河ドラマ」。圧巻です。

アマヨクを襲う様々な試練。それでも、何があっても、自分の信じるもののため、愛するもののため、守りたいもののために、真っすぐに突き進んでいく彼の姿に、信念に、何度も目頭が熱くなりました。人の強さ、そして弱さ。そのどちらもが人であるということ。胸を打たれました。

しかし、さすが沢村さん。今までに読んできたような沢村さんの作品たちとは全く違うタイプの本ですが、でも、ほんとうにすばらしい本でした。読んでよかったです。手に取りづらい本だとは思いますが、ほんとうにほんとうにオススメです。
2006.07.07 Friday 16:46 | comments(0) | trackbacks(1) | 

カタブツ 沢村凜 講談社 (chiekoa)

4062124017カタブツ
沢村 凜
講談社 2004-07

出会ってはいけなかった二人が出会ってしまったら―「バクのみた夢」の他、「袋のカンガルー」「駅で待つ人」「とっさの場合」「マリッジブルー、マリングレー」「無言電話の向こう側」と、「カタブツ」達がおりなす様々な物語を収録した短編集です。

…大お気に入りです。大好きです。特に最初の「バクのみた夢」で、すいません、ものすごくツボにはまって号泣しました。すごい、すごいいい本でした。これは買いです!オススメです!

作者さんがあとがきで書いていらっしゃるように、そしてこのタイトルが示すように、「地味でまじめな人たち」が主人公のこの本。でも、各短編ごとに、手触りも、色も、読後感も違う。本当に全部同じ人が書いているの?「カタブツ」というテーマのアンソロジーだって言われても納得なくらいです。毎回毎回楽しめます(いや、楽しい!ってわけでもないんですけど…飽きさせないというか、意表をついてくるというか)。すごいなぁ。読んでから一日たちましたが、今各短編のタイトルみただけで、ちゃんと中身が浮かびますもん。(え?普通?私は普段だとできないんです、これが…)。

「バクのみた夢」
お互いに家庭を持っているのに、出会い、愛し合ってしまった道雄と沙緒里。誠実さゆえに配偶者をあざむきつづけることができなくなった二人が出した結論は…。

もう、ほんとに、ど真ん中ストライクだったのです。この物語。普通にど真ん中だったのに、さらにこのラストで駄目押しというか、満塁サヨナラホームランというか(比喩が変です)、この最後の一段落が…すばらしすぎます。脱帽、そして号泣。

「袋のカンガルー」
わがままで身勝手なのにほおっておけない亜子と、僕にとっての奇跡の女性・英恵。二人の間で僕は…。

これはまた、展開がすごくうまいなぁと。「亜子」この女性は誰だろう?何だろう?さんざんそう思わせておいて、気にさせておいて、いざ事実が明らかになったら急にぱったり彼女は物語の中に登場しなくなるのです。男女の駆け引きのように…やられました。この余韻をひきまくるラストにもうなりました。えぇ、どうなるの(泣)?私個人的には…彼は一生「彼のまま」だと思います…。

「駅で待つ人」
何であんなことをしたのかって?僕はただ見知らぬ駅にたたずんでいただけですよ…。

がらっと変わって、これは主人公の一人語りで話しが進んで行きます。「あんなこと」が何なのか…それは最後の最後に明らかになります。びっくりしました。そして、ちょっとこわくなりました。

「とっさの場合」
大切な大切な自分の息子。その息子が死ぬ夢を見て目覚めた私。そして今日も彼女が私のところにやってくる…。

「強迫神経症」がテーマです。真面目で頑張る人ほどかかりやすいというあれですね。私はたぶんそういうタイプではないのですが、でもこの主人公の「私」の語り口がリアルで、体験したこともないのに我が事のように心がざわざわしました…。このラストには、なんとなく救われた気がします。

「マリッジブルー、マリングレー」
結婚を目前にし、婚約者とともに彼女の実家のある土地を訪れた昌樹。初めてみるはずのその景色に、なぜか見覚えがあることに気付いた彼は…。

なんというかもうタイトルからして上手いですが。こちらはまたがらっと意匠を変えて、ミステリィタッチです。記憶のない二日間、自分はいったいどこで何をしていたのか…。そして解決したかと思いきや、のこのラスト。ぞくっとするなんてものじゃぁ…。ひー。

「無言電話の向こう側」
いつでも自信満々の親友・樽見。彼と俺・須磨陸とが出会い、そして親しくなったきっかけは…。

いいですー。すごくいいですー。ラストにこの短編が来て、なんかもう気分は最高、ありがとう、という感じです。(頭悪そうですいません)。「思い知らせてやる。おまえが誰も頼ろうとしなくても、友人とは、勝手におせっかいをする存在なのだと」。泣けてしかたありませんでした。


というわけで、この本がマイナーなことがもったいなくて仕方ありません。どうぞぜひお手にとって読んでみていただきたく。幸い図書館の予約待ちもほとんどないものと思われます!(うれしいような、悲しいような)。
2006.05.22 Monday 17:41 | comments(0) | trackbacks(2) | 

冷たい校舎の時は止まる  辻村深月 講談社 (chiekoa)

4061823752冷たい校舎の時は止まる (上)
辻村 深月
講談社 2004-06-08

4061823787冷たい校舎の時は止まる (中)
辻村 深月
講談社 2004-07-06

4061823825冷たい校舎の時は止まる (下)
辻村 深月
講談社 2004-08-06

ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない玄関の扉、そして他には誰も登校してこない、時が止まった校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヵ月前に起きた学園祭での自殺事件を思い出す。しかし8人は死んだ級友の名前が思い出せない。死んだのは誰なのか…。

これは…素晴らしい!これがデビュー作??恐ろしすぎます…。文章も、構成も、素晴らしかった。うん。第二の恩田陸?!くらいに思いました。(←私的にはかなりの誉め言葉です!)。

登場人物の数が多いので、最初のうちはちょっと苦労したのですが、その書き分けというかキャラ付けが見事なので、なじんでくると何の問題もありませんでした。それぞれが、それぞれに抱える心の闇。高校生くらいの頃の、人と人の関係のあの息苦しさと切なさと。…胸にぐっと来ました。それをこれだけの人数かき分けるなんて!すごい。素直に驚嘆しました。まぁ私はこんなステキかつ繊細な高校生ではなかったのですけれどね…。(私の周りにもきっといなかった(笑))。

そしてこのストーリーと、ラストに明かされる事実。すべてがぴしっと一本の糸につながったような快感…。あぁ、そうだったんだ!と目からウロコでした。読みながら全然真相がわかんなかったんです。私。長かったけど、最後まで一気に読ませます。そういえば私もこういう風に気の会う仲間たちと特殊な状況に置かれたら…って想像(妄想?)、結構したなぁ。それでわくわくしたなぁって、思い出しました。でも小学生くらいの頃ですけど…。

なんかすごく映像向け?な感じもしました。絵になりそうだなぁ。

個人的に…唯一難を言えば、主要登場人物の名前が「辻村深月」なことでしょうか。なんかしょっぱなから「えー?」と思ってしまって、そこが興ざめでした。なんでこうしたのかなぁ。気恥ずかしくないのかしら…。私だったらできない。絶対できない。よくわかりませんが。そんなものですか?

いや、でも名作だと思います。ほんとうに素晴らしかった!これからが楽しみで楽しみで仕方ありません。
2006.05.02 Tuesday 13:59 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『陰日向に咲く』 劇団ひとり 幻冬舎 (chiekoa)

4344011023陰日向に咲く
劇団ひとり
幻冬舎 2006-01

ホームレスにあこがれて本当のホームレスになってしまうサラリーマン、いわゆる秋葉系のアイドルおたく、男に遊ばれる自称カメラマンの卵の20歳の女の子、ギャンブルで借金まみれの中年男、浅草のストリップ劇場の売れない芸人。
「道草」「拝啓、僕のアイドル様」「ピンボケな私」「Over run」「鳴き砂を歩く犬」の5編からなる連作短編集です。

「みくびってました!!!ごめんなさい!!!」

と、最初に謝っておきます。いやぁ、予想外によかった!(←失礼な。でもほんとうなの…)。先入観、よくないですね。ほんと、ごめんなさいでした。

連作短編の形になっているのですが、その構成がすごく上手いと思いました。一筋縄ではいかないのね!というか。最後なんて、「あぁ!」と思って泣けそうでしたよ…不覚にも。(←これを不覚と思う時点でその先入観がよくないんだってば)。

もちろん、文章の上手さとか、そういうところではまだまだ全然という感じなのですけど、なんというのかな…。全体的に大味なんですけど、読み終えた感想としては、あぁ、よかったなぁ、と。絶賛!ってわけじゃないんですけど、オススメかどうかと言われればオススメだし、一度読んでみてソンはないのではないかと。はい。

そしてこの本、装幀が「鈴木成一デザイン事務所」ですよ!デビュー作で…生意気な(笑)!スタイリストさんまでついてるみたいだし。お金かけてるなぁ。そういうとこ見ると、出版社の売るぞ!って気合が透けて見えたりして、なんとなくげんなりなんですけど、確かにそういう「色物」の一面もあるのでしょうけど、でも、それでも一度読んでみてもいいのではないかなぁと思います。お暇なら、ぜひ(笑)。
2006.04.27 Thursday 11:53 | comments(1) | trackbacks(9) | 

『忘れないと誓ったぼくがいた』 平山瑞穂 新潮社 (chiekoa)

4104722022忘れないと誓ったぼくがいた
平山 瑞穂
新潮社 2006-02-20

たとえ世界中の誰もが君を忘れてしまっても、ぼくだけは君を憶えてる―。
一目見て気になっていた眼鏡屋の店員「織部」と、偶然自分の高校で再会したタカシ。ある日彼女がタカシに告白した彼女の「秘密」とは…。

何がいい…っていうのはうまくいえないですが、とりあえず最後まで一気に読ませます。普通に読んだらこういう設定って、ものすごく鼻についていらいらしそうなんですけど…全然そんなことありませんでした。文章が上手いって、こういうことなのかな…。最後に泣く!ということは私はありませんでしたが、なかなかよい読書ができたと思いました。とにかく「読ませ」ます。

平山瑞穂さん、今後も要チェック…。(ちなみに、男性の方だそうです!)
2006.03.27 Monday 15:41 | comments(0) | trackbacks(1) | 
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