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2007.07.04 Wednesday  | - | - | 

『テースト・オブ・苦虫2』 町田康 中央公論新社 (聖月)

テースト・オブ・苦虫〈2〉
テースト・オブ・苦虫〈2〉
町田 康
 今は駿河の國でせっせと出稼いで働く評者だが、鹿児島時代は、出身地、生れ故郷ということもあり、せっせと働きながらもこれ飲み会が多く、飲み会が多いのはいいのだけど、1次会が終わると皆様すぐ2軒目行こうという話になり、評者の好きくないキャバクラなんどに行くわけで、評者もSSだからって、SSって何?って訊かれれば、そりゃスーパーサラリーマンの略だし、要するにスーサラだからお付き合いで一緒に行くわけで、なんでキャバクラが好きくないかといえば、女給と話するのが甚だ面倒だからである。

 そのキャバクラの名前が「おかえりなさい」なんていう名前で、入っていくと“お帰りなさい♪”なんて女給たちが声をかけてくるわけで、要するにアホな男どもに、仕事や家庭はあなたの仮の棲み家、あなたの帰るところはここなのよ♪などの浅墓な策謀が根底に見えているにもかかわらず、アホな男どもや評者の友人たちはまんまとその策謀にひっかかり、その店に帰っていくのである。仕方なく付き合いで入っていって、ついた女給が“お帰りなさい♪私の名前は由華よ。ユカリンて呼んでね♪”なんて言うのだが、自分が知っている女給は明美嬢にクンクンに靖子姫しかいないわけで、その3人が“お帰りなさい♪”というのならまだしも、見も知らないユカリンという女性にお帰りなんて言われるのは、知らない人の家に行ってお帰りなんて言われるのと一緒で甚だ片腹痛く、そう文句を言おうかと思ったのだが、バストが大きいので許すことにした。
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2006.06.18 Sunday 11:17 | comments(0) | trackbacks(11) | 

『遮断』 古処誠二 新潮社 (聖月)

遮断
遮断
古処 誠二
 今朝の讀賣新聞朝刊の“人生案内”が非常に印象に残った評者である。評者は、毎朝、新聞の全ての面を開いて眺めるが、そんなにつぶさに記事を読むわけではない。ただし、植田まさしの漫画“こぼちゃん”を読む確率よりは、人生相談コーナーといえる“人生案内”を読む確率のほうが高い。別に自分が人生に悩んでいるわけでもないし、他人の悩みに耳をそばだてたいのでもない。人生のケーススタディとして、自分の抽斗にしまいこむだけである。ふ〜ん、そんな悩みもありそうね、ふ〜ん、回答者としてはそういう回答が無難だよね、大体そんな感じで、抽斗にしまいこむ前に印象が薄れ、そのまま次の記事に意識が移ってしまうのことのほうが多いのだが・・・。

 今回の相談を要約すれば、大体こんな感じ。“40代男性。過去に大病を患い、これから先、長く生きられる自信もないが、20年とか生存する可能性もあり。つかず離れずの彼女は、結婚までは強く望んでいないが、自分の子供が欲しいという。母子家庭に対する憂いと、二人の間の問題と考える立場で悩んでいます。アドバイスをお願いします。”というもの。
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2006.01.24 Tuesday 14:30 | comments(0) | trackbacks(3) | 

『聖少年』 檀上 りく 小学館 (聖月)

聖少年
聖少年
檀上 りく
 女子高生という職業の人たちについては、小説の中や、ドキュメンタリー的な街頭インタビューや、東京の電車内で見かける本物たちにより、その生態が少しはわかっているつもりでいる評者。いや、女子高校生という純粋な肩書きを持った無垢な感じの女の子たちも多く目にはするが、やはり目を惹くのは女子高生という職業の人たちのほうである。ミニスカ、茶髪や金髪、ピアス、化粧、ルーズソックス・・・なんか、見ちゃうんだよね・・・でも目は合わさないようにしている。大分県は高崎山のサルと一緒で、目が合ったら飛びかかってくるかもしれんし。“オヤジィ〜、何こっち見てんだよ〜”みたいな。おお、コワ!クワバラ、クワバラ。
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2005.12.11 Sunday 13:10 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『カリフォルニア・ガール』 T・ジェファーソン・パーカー (聖月)

カリフォルニア・ガール
カリフォルニア・ガール
T・ジェファーソン・パーカー, 七搦 理美子

 本書『カリフォルニア・ガール』は、素晴らしい作品である。本邦初紹介作品であった著者の『サイレント・ジョー』より、作風も物語性もこちらのほうがずっと好みの評者なのである。どちらの作品でもアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞しているのだが・・・っていうか、この賞を二回も受賞すること自体が稀有なのである。なのに敢えて2回目を与えられたということは、他の作家の作品ではなく、この作家に再び与えたということは、それだけ素晴らしい作品だからなのである。藤原イオリンにもう一度直木賞を与えるようなものである。綿矢りさ姫にもう一度芥川賞を与えるようなものである。芥川賞を受賞した町田康に、『告白』で直木賞もあげちゃうからみたいなものである。そういうつもりで、是非、手にとって読んでみてほしい佳作でなのである。
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2005.12.10 Saturday 10:48 | comments(0) | trackbacks(4) | 

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 村上春樹 (聖月)

投稿が静かですねえ・・・では
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
村上 春樹


既評『海辺のカフカ』で村上春樹を初めて読んで気に入った評者は、さて次の村上春樹作品は何にしようと考えていた。そこらへんのお話を少し掲示板で交わしたら、リンク先の苗村屋さんと四季さんから早速、ちょっと古い作品ですが本書『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が傑作だとのアドバイスがあり、手に取った次第。どのくらい古い作品かというと、評者が図書館から借りた本は1985/6発行の単行本で、表紙もなければ背表紙もハズレそうでボロボロというくらい古いのである。それはたまたま借りた本の状態が古かっただけだって?それだけでもあるまい。1985年というと評者が大学を4年で卒業できず留年が決まり、余分の1年だけという期限付きで五反田の阪神ファンの友人のマンションに転がり込んで、興味のない阪神優勝への道を体感したほど古いのである。23歳で道頓堀に飛び込んだ若者は、現在評者と同じ歳なわけだし、18歳以下の現在の関西阪神ファンは今年2003年まで阪神の優勝すら体感できないでいたくらいの大昔に書かれた本なのである。まだ昭和と呼ばれていた時代の作品なのである。
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2005.12.03 Saturday 19:47 | comments(2) | trackbacks(5) | 

『退屈姫君 恋に燃える』 米村 圭伍 新潮文庫 (聖月)

退屈姫君 恋に燃える
退屈姫君 恋に燃える
米村 圭伍

 いやあ、退屈姫君シリーズ、相変わらずのお気楽面白さである。読書はひとつの娯楽であることを思い出させてくれる。

 ところで、最近、米村圭伍を読みたいのだけど最初から順番に読まないと駄目?って記事があったので、評者なりの回答を述べておくと、勿論、作品が出版された順に追いかけるにこしたことはないが、とりあえず退屈姫君シリーズを中心に楽しみたいという方には、デビュー作『風流冷飯伝』と二作目『退屈姫君伝』だけは順番に読んで、あとは特に順番に拘らず読んでも構わないかと思う。最初の二作で、この作家の風流でいとおかし雰囲気の全容がわかるし、その後の作品の基礎になる設定もほぼ網羅されているからである。特にシリーズ三作目の本書『退屈姫君 恋に燃える』をいきなり読むのは勿体無いかな。
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2005.10.30 Sunday 16:34 | comments(0) | trackbacks(2) | 

『柳生薔薇剣』 荒山徹 朝日新聞社 (聖月)

柳生薔薇剣
柳生薔薇剣
荒山 徹
 縁(えん)とか縁(えにし)とか一口で言っても、そこには様々な種類の縁が存在するような気がする。

 例えば、司法試験とか憧れの大学を何回も受けて、結局は自分の身の丈にあった進路を選ばざるを得なかったとき、親戚知人が、もしくは本人が“縁がなかったんだよ”と慰めもしくは言い訳の言葉を口にするのは、これは縁ではない。能力がなかっただけ、もしくは努力が足りなかっただけの話である。

 例えば、人気作家やプロ野球選手が、その実力は認められているものの、中々賞とかタイトルというものを取れない場合も、縁がないなんて言葉を使うかも知れないが、これもTPOに合った努力が足らない結果ではないのかな。
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2005.10.20 Thursday 05:37 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『獣たちの庭園』 ジェフリー・ディーヴァー 文春文庫 (聖月)

獣たちの庭園
獣たちの庭園
ジェフリー・ディーヴァー, 土屋 晃

 評者にとっては、リンカーン・ライムシリーズ以外のジェフリー・ディーヴァーノンシリーズ初読の作品。いや『悪魔の涙』だとか『静寂の叫び』だとか色々積んではいるんだけど(^^ゞしかし、やはりディーヴァー、読ませるし、一筋縄ではいかないストーリー・・・でも、文庫で650ページは厚かった。いや、文庫でこんなにエンタメ、お買い得ということかな(^.^)

 時は1936年、ベルリンオリンピック開催に紛れて、一人の殺し屋がアメリカからドイツへ入っていく話。この殺し屋っていうのが主人公なんだけど、こいつがいい。いいやつである。殺し屋に対していいやつなんて変かもしれないが、ゴルゴ13より人情味もあるし、平凡な夢もあるし・・・ということで、読者の多くはこの主人公を応援しながら読むこととなる。
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2005.10.10 Monday 13:36 | comments(0) | trackbacks(3) | 

『PAY DAY!!!【ペイ・デイ!!!】』 山田詠美 新潮文庫 (聖月)


 今は家族を鹿児島に置いて東京へ単身赴任している評者なのだが、以前勤めていた職場に種子島から同い年の同僚が家族で赴任してきたときのこと。この同僚っていうのが、パチンコが下手糞なのにパチンコ好きで、飲んだら呑まれて担がれるか嫁さんが迎えに来るというパターンでしか家に戻れないという、どうしようもない同い年だったのである。その彼が、唯一パチンコの誘惑にも社内の人間の誘いにも乗らない日というのがあって、それが月一回の給料日(ペイデイ!!!)だったのである。家族(親子)で食事に行く日なのである。

 最初の頃こそ、島にはないチェーン店の焼肉屋とかに行っていたようなのだが、親子共々新しい地に慣れてくると、吉野家とかラーメン屋とか、そんなところに行っていたようである。外食なら子供たちも夫婦もどこでもよかったらしい。ただ、外食には行かないといけないらしい。何しろペイデイ!!!なのだから。
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2005.09.18 Sunday 20:03 | comments(1) | trackbacks(1) | 

『厭世フレーバー』 三羽省吾 文藝春秋 (聖月)

厭世フレーバー
厭世フレーバー
三羽 省吾

期せずして傑作を読んでしまった。本書『厭世フレーバー』は、ユーモア風味溢れる家族小説の傑作である。

 デビュー作であり第8回小説新潮長篇新人賞を受賞した◎『太陽がイッパイいっぱい』も、オカシミ&ユーモア溢れる青春小説として中々楽しかったのだが、いかんせん青春のフレーバー(風味)を表現せんがためのベタな描写が目立ち、そういう欠点をオブラートに包むというような著者の力量がまだ足りなかったのが、評価◎止まりという結果であった。

 本書を読み始めての数ページでは、前作に引き続き、そういうタイプの文章できたかと早合点してしまった評者なのだが、読み進めるにつれ、著者の力量と推敲の結実に、いいぞいいぞとページを繰る手が止まらずの一気読みの快哉読書タイムであったことを、まずは報告しておこう。一見ベタに見える表現も、今回は文章の中に溶け込んで一体化しているし、何しろ新しい文章作法として、読み手にその表現の存在自体が欠かせないものと映ってしまうあたりが見事であり、手法としても新鮮なのである。
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2005.09.03 Saturday 17:35 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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