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My Recommend Books !みなさんのオススメの本を熱く語り合いましょう!
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それからはスープのことばかり考えて暮らした 吉田 篤弘 (bon)
引っ越してきたばかりの大里(オーリィ)は、3と印刷された袋を抱える人が多いことを不思議に思う。 大家の大屋さん(マダム)から、それはなかなかおいしいサンドイッチ屋の袋だと教えてもらう。 そのサンドイッチは、なかなかどころか人生が変わってしまうほどの味だった… 久々のマイレコです。はじめて読んだ作家さんなのですがよかったです。 すごく居心地のいい話でした。 続きが気になるのに読み終えるのがもったいないくらい。 私はひねくれたところがあって、いい人ばかり出てくる話ってあまり好きじゃないのですが、 ここに出てくる人たちはいい人ばかりなのになぜか愛しいんです。 みんななにかぼうっとしたものを抱えているんです。 見えない心の穴と言ったらいいんでしょうか… 主人公オーリィは古い日本映画が好きで、そんな日本映画を上映している映画館に行くと 同じようにいつも来ている緑色の帽子のおばあちゃんが気になります。 この女性がこれまたkeyなんです。 この二人の関係が、なんともいえなくて羨ましくもあり、憧れてしまうほどすごくいいんです。 緑色の帽子のおばあちゃんも大家のマダムもサンドイッチ屋の安藤さんもその息子のリツ君も それぞれが重要で愛すべき存在なんです。 決してでしゃばらず、脇役なんだけどそれでいてそれぞれが味を出してるのです。 これぞスープの極意。 最後に出てくる「名なしのスープの作り方」がこれまたいいんです。 思わずにんまり。 そしてスープを作ってみたくなる、もしくは飲んでみたくなります。 なんか大事なことが隠されてるというか、気付かされます。 こんな風に生きれたらいいのに。
『幸福な遊戯』 角田光代 角川書店 (bon)
角田さんの書くダメ人間は、どうしてこうもしっくりはまるのだろう。 淋しい気持ちを埋めるために、擬似的な家族を求める女、 買い物をやめることのできない女、 夢を追っているもう一人の自分を作ってしまう女… 誰にでも彼女たちになってしまう要素はあると思う。 リアルじゃないようでリアルだ。 今ならこういうダメ人間も受け入れられる世の中だけど、 この作品が生まれた当時は異物を見る目で見られていたと思う。 その中で彼女たちは淋しさをどう消化していくか苦しんでいたんだと思う。 幸せを求めることはどういうことなのか。 それは一人一人違ったことなのに… その幸せを求めていってしまった人たちを、彼女たちは取り残された思いで苦かっただろう。 でも彼女たちも追い求めていくことはできるんだ。 彼女たちが踏み出さねば…
『白妖鬼』 高橋 克彦 講談社文庫 (bon)
元慶八年(884年)、内裏の陰陽寮に仕える弓削是雄は、陸奥の胆沢に在った。 八年前にわずか九歳で即位した陽成帝の御代になってから変事が続き、内裏は不穏の重なる行政区に陰陽師を置いていたのだ。 しかし是雄に解任の知らせが届く。これは各地の陰陽師も一緒だった。 しかもまだ若い陽成帝は譲位し、かわりに五十五歳になる光孝帝が即位したというのだ。 都で何が起こったのか…是雄は都を目指す。 が、謎の烏天狗の3人組に襲われる…
『氷菓』 米澤穂信 角川文庫 (bon)
神山高校に入学した折木奉太郎は、海外にいる姉からの「古典部に入りなさい」という手紙に従い廃部寸前の古典部に入部する。 他に誰も入部していないと思っていた奉太郎だが、部室には同じ1年の千反田えるがいた。 その場に居合わせた親友福部里志も古典部に入部することになる。 そして里志に思いをよせる、中学のときからの同級生伊原摩邪花も入部することになる… 今は失踪している千反田の伯父は33年前古典部員であり、千反田が幼いころに古典部にまつわる話をしてくれていたのだが、どうしても思い出せず心にひっかかっていた。 その謎を奉太郎に考えて欲しいと頼んでくる… 面白かったです。 いわゆる「日常の謎」がでてくるのですが、たいして大きい謎でもないし、だからどうなんだといわれればそんなものなのですが、4人が(そうでないときもあるけど)あーだこーだと考えている姿がなんとも微笑ましくって、あぁ高校生!というかんじなのです。 奉太郎は何事に対しても「省エネ」な男の子なんだけど、千反田の疑問を追及するエネルギーに巻き込まれ、結局一緒になって考えてるんですよね。 そこに里志、摩邪花が加わって、4人の掛け合いが面白いのです。 「氷菓」というのは、古典部の文集の題名。 千反田の伯父と深く関わってきます。このことが古典部の仲間を強く結びつけていくんですよ。 ちょっと切ないかなぁ。その時代に生きた人たちには苦い思い出なのかもしれませんね。 ちょっと高校生に戻りたくなるような気分にさせてくれます。 仲間と楽しく過ごしていた日々に…
『埋もれ火』 北原亞以子 文春文庫 (bon)
幕末から明治維新へと駆け抜けていった男たち、彼らを愛してしまった女たち… 燃えさかった火は、今は何処に… 坂本龍馬の妻のお龍、龍馬を思い続けた千葉道場の娘さな。近藤勇の妾おさわ、妻のツネ。 官軍のはずの相楽総三の妻照。清河八郎の女お蓮に横恋慕し藩を捨てた男堀井。 長崎で志士を支えた大浦屋お慶。西郷という男に惚れ志士たちに私財を投げ打ってまで支えた白石正一郎と妻加寿。 高杉晋作の墓を守り続ける妾だったうの。 彼女ら彼らの維新後は誰もがもの悲しい。波が引いたように淋しい。
『EDGE』 とみなが貴和 講談社X文庫ホワイトハート (sa-ki)
一年足らずの間に、東京タワー、レインボーブリッジ、新宿都庁、池袋の大煙突を次々に爆破させた「黄昏の爆弾魔(ラグナロク・ボマー)」。犯人について何の手がかりもつかめずにいる警察は、ある民間人に協力を要請した。その人物とは、美形の若きプロファイラー・大滝錬摩。
『虹果て村の秘密』 有栖川有栖 講談社 (sa-ki)
推理作家にどうしてもなりたい12歳・上月秀介と、刑事になりたくてしょうがない12歳・二ノ宮優希。二人は、推理作家である優希の母・ミサトの別荘で夏休みを過ごすため、虹果て村へとやってきました。ところが、のどかなはずの村では、高速道路建設の賛成反対を巡り、村民が激しく対立していたのです。そんな時殺人事件が発生し、秀介と優希は事件解明に乗り出すことに・・・。
『バカの壁』 養老孟司 新潮新書 (ゆっこ)
養老先生が東大生に聞いた。「この二つの骨の違いを言いなさい。」 目の前にある二つの頭蓋骨を、1分くらいも眺めた挙句に学生は答えたそうだ。「先生、こっちのほうが大きいです。」 この話イコール「バカの壁」というのではない。『教育の怪しさ』という章に書いてある憂うべき教育現場の実態の一例だ。養老先生のような頭脳明晰な方でなくても、この逸話には笑えないブラックなものが潜んでいないか? さて「バカの壁」とは何か、ということは本書の一番はじめに説明してあるので詳しくは書かないが、「知りたくないことに対して自主的に情報を遮断してしまう」という壁であり、言葉だけで分かった気になっている「知識」という名を借りた思考停止であり、何か1つのものを唯一の正しいものだと簡単に主張し妄信する姿勢だということだ。
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