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My Recommend Books !みなさんのオススメの本を熱く語り合いましょう!
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キップをなくして 池澤夏樹 f丸
キップをなくして 池澤 夏樹 いい小説でした。押し付けがましくなく、それでいて淡々としすぎているわけでもない。けっこう突飛な設定なのに、その突飛が完全に今の現代人の日常生活にすぽっとうまいこと入って溶け込んで、読書の世界にすんなり入り込むことが出来るほんわかした優しい魔法みたいなファンタジーのお手本みたいな小説でした。 自分はラストの徳光和夫や西村知美ならば号泣まちがいなしのお別れのシーンを完全にスルーしてしまった人間で、そういう意味ではこの「キップをなくして」のよい読者としては失格なのでしょう。 けれども子供たちのわいわいした童話にも似たような明るい雰囲気のなかで、たまに垣間見ることができる「どうして自分ばかり・・・」ということに対しての、控えめな子供ながらの諦念そして強がりの描写は、ゴーストストーリーの中でもトップレベルの切なさと思いました。 なによりもやはり池澤夏樹の世界観は誰にでも優しくてそして公平です!そこがまた読んでいて気持ちいいです。
退廃姉妹 島田雅彦 f丸
退廃姉妹 島田 雅彦 この小説を読んだあとの読後感はすごく満足して充実したものでした。 あっ、読んでみてすごくよかったなと心底思えました。 自分としては魅力的な女四人が才覚を活かしての細腕繁盛記みたいに読んで面白かったのですが、彼女たちの倫理観、職業意識、他人に対する考察などのミクロな認識でみても、どきどきするものがあるところにもものすごく気の利いたおしゃれなセリフでそちらにも引き込ませてくれて、すみからすみまで文章というものを楽しむことができました。 有希子は保守的なほうで久美子は前進的なほうで負けん気が強いし、祥子はほんわかした家庭的な雰囲気だし、お春も芯が通っていて四者四様全員が魅力的です。 ただ、このいわゆる「娼婦」という職業を女たちが活き活きと行うというそれだけのことでけっこうたくさんの人たちが嫌悪感を感じてしまうのかもしれないと思うと、それが個人的には残念でなりません。 勘違いされてしまうかもしれませんが、少なくとも自分にとっては、アメリカ軍人に抱かれて、敗戦国の貧しさを尻目に華やかに華麗に「退廃」の中を舞う彼女たちは優雅で魅力的な「バタフライ」そのものでした。 華麗で優雅で、それでいてどこかうしろめたい罪悪感や気だるさを拭いきれないその退廃姉妹は爆発的にエロティックでコケティッシュでそれでいて一生懸命でたまりませーん!!!!!
『この本が、世界に存在することに』角田光代著 (by柊)
この本が、世界に存在することに posted with 簡単リンクくん at 2005. 8.21 角田/光代??著 メディアファクトリー (2005.5) 通常24時間以内に発送します。 人格・性格がそれまで過ごしてきた時間・記憶から作り上げられているのなら 柊の体の大部分は本と一緒に過ごした記憶で構成されている…と思う。 「本ばかり読んで」と幾度本を取り上げられそうになっても、 読みかけの本が手元におかれてないときなどなかったから☆ 内容をそっくり覚えている本なんて実はほとんどなかったりもするのだけど、 それもまた再読したときの楽しみになっていたりして不思議なものですね。
『さよならアメリカ』 樋口 直哉 講談社 (f丸)
さよならアメリカ 樋口 直哉 この小説はなんか妙に自分にうまいところでフィットしました。 万人受けは絶対にしないだろうとは思うのですが、なんだか個人的にはその一つ一つのメタファーがうまいところでインスピレーションを喚起するという具合で。 内容は安部公房の「箱男」から「見る側見られる側のスリリング」を抜いて文体はかなりの春樹テイストです。 でも、なんかたまにこんな漢字使わねーよ、というところも。 紙袋をかぶる人間という匿名性を強調した設定、同じ町で起きる犯罪の近いような遠いような不思議な距離感。 弟は結局、誰なのか?自分をどう思っているのか? 紙袋に書いてある「さよならアメリカ」の文字の矛盾した思い。 犯罪と紙袋をかぶった人間たちのつながり、そしてそれがそのまま自分にも跳ね返ってくること。 そういった気持ち悪い病的なメタファーが少なくとも自分には「没個性の社会(ニート、引きこもりのような)の楽さとそれに伴う責任」みたいなふうに思えて、そう思うとぴったりとはまって納得してしまいました。 軽い文体の中で読んでいて逆に心が毒されてしまうような感覚がスリリングで魅力的でした。少なくとも、自分には。
『アーモンド入りチョコレートのワルツ』 森絵都 角川文庫 (むつぞー)
アーモンド入りチョコレートのワルツ posted with 簡単リンクくん at 2005. 7. 6 森 絵都角川書店 (2005.6)通常24時間以内に発送します。 いとこ同士5人が海辺の別荘で夏を過ごす話。 旧校舎で偶然であった少年と少女の話。 ピアノ教室で過す特別な時。 そんな物語が3つのピアノの曲で彩られます。 少年・少女の変わっていく思春期の姿を、 そしてこの時が戻ってこないことに気が付く瞬間を なんと繊細にそして綺麗に描きとった作品なんでしょう。 どの作品も情景が鮮やかに浮かんできます。 そしてその風景が懐かしく思えるのは、 それは私が大人になってしまったからでしょうか? 子供と大人の境は大きな出来事があるわけではなく こんな変化の積み重ねなのかもしれませんね。 とても切なく心に残る作品でした。 この作家さんは初読みです。(文庫派なもので…) もっと他の作品を読んでみたい作家となりました。
『 ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』 高橋源一郎 集英社 (f丸)
ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ 高橋 源一郎 みなさんよくご存知の宮沢賢治の素敵な名作の数々が現代純文学の旗手・高橋源一郎の手によって新しい解釈と現代の描写によって21世紀にリメイク!とでも言えばこの本のコピーとしては満足できるでしょうか。
『ビネツ』 永井するみ 小学館 (f丸)
ビネツ―美熱 永井 するみ いい小説というものにはやはりテーマが重要だと思います。 正直、自分としてはもうどこかで読んだことがあるテーマ、語りつくされたテーマのものを読んでも、どんなにそれが素晴らしいものでもつまらなくはないが興ざめな気持ちを抱いてしまいます。 すごく当たり前の事ですが、やはりこれも大事なことなのでしょう。
『風味絶佳』 山田詠美 文藝春秋 (f丸)
風味絶佳 山田 詠美 山田詠美の新作は近作で言うのならば「姫君」のような作風の、人間と人間の微妙な関係を純文学的なテイストで描いた短編集となっております。 恋愛をする男と女。それをただ単に会話や役割関係、気持ちや行動などの変化のみを描いてしまったらそれはただの普通の恋愛小説になってしまいますが、この短編集ではやや特集な職業に従事する人を絡めて恋模様を描いていまして、そこが読んでいて本当に効果的だなと感じました。
『古道具中野商店』 新潮社 川上弘美 (f丸)
古道具 中野商店 川上 弘美 独特というふり幅があまりにも広い言葉に逃げてしまうのは卑怯な気もします。けれどもやはり川上弘美さんの小説は独特なのです。 それはやはり恋愛小説というカテゴリに入るのに、それでも独特という意味なのです。 この「古道具中野商店」の若さはまったく感じることができない老成しているヤングな方々、ヒトミやタケオ。彼らの考え方はオーソドックスな山本文緒さんや唯川恵さんの恋愛小説とはまたツボをかなりはずしています。愛だの恋だの言っていないうえに、現実的なことや即物的なことにもまるで関心がない。それならば、恋愛小説にならないはずなのに、それでも彼らは一応気持ちを打ち解けさせて、つながったりして恋愛の形を成立させるのです。 時の流れみたいなものが感じ取れない明確さに欠く展開をうやむやとかあいまいと解釈しておきに召さない方も多いのだろうなとも思います。 けれども、どこまでも永遠のその世界が続いてしまいそうな、まるで「サザエさん」でもみているようなほんわかとした川上弘美の世界はメリハリのないエンタメなのです。 変化はしないけれども切り口を少しづつ変えていったその不思議な味わいの継続。「こんかい」「ひといき」といったひらがな、「ゲイジュツカ」「セルロイドのルロ」といったカタカナ、「チンチロリン」だとか「パイばっかりケーキ屋で注文する」なんていうほんの少しの突飛で違和感を想起させて、効果的に自分がほんの少しの異界にいることを思い出させてくれるのです。 帯の「好きをつきつめるとからっぽの世界にいってしまうんだな」という短い文章をよーく心に留めてから読んでみてください。琴線というものは人によって違うのではっきりとしたことは言えませんが、そのスタンスで進む彼らの世界はたしかに恋愛小説で、それを感じ取れる原石はごろごろとたくさんその中に落ちているのです。
『コイノカオリ』 角田光代他 角川書店 (柊)
柊苦手の恋愛小説集です。…が、ここに作品を寄せている作家名に 角田光代、島本理生、栗田有起、井上荒野さんの名前を見つけたので 借りてみました♪ なんていうか…とても濃いです。一作一作が。 “香り”がモチーフになっているのですが、それぞれの物語を象徴する 香りが、ページを繰るたびにそこから立ち上ってくる…そんな不思議な 感覚があります。 恋愛の甘さよりもほろ苦さ、好きだからこそ受け入れられないといった嫌悪感、 目標だったり憧れだったり、孤独だったり、執着だったり… そういう面をどれもうまくすくい上げていたから、じん、ときたのかもしれない。
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