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2007.07.04 Wednesday  | - | - | 

『ガール』 奥田英朗 講談社 (トラキチ)


奥田 英朗 / 講談社(2006/01/21)
Amazonランキング:位
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<思わず“新・短編の名手”と言う言葉を授けたくなるぐらい読者を溌剌とした気分にさせてくれる短編集>

30代の働く女性を主人公に据えた短編集。
同じ講談社から2002年に発売された40代の男性管理職を主人公とした短編集『マドンナ』の姉妹本と言えそうな本作。
両方読まれた方は賛同していただけると確信しているが、本作の方が“輝いている女性”を描いているために読後感がさらに良いのである。

本作の特徴は女性の微妙な心理を男性作家ならではの鋭い観察眼で読者に思う存分披露してくれている点。
既婚・未婚問わずに働く女性の方には是非読んでいただきたいなと思う。
必ず相手方(既婚の方は未婚の方の、また未婚の方は既婚の方の)の気持ちが十分に理解でき、なおかつ尊重できるのである。
なぜなら人生の価値観は人によって様々で然りであるからだ。

各編、読後読者それぞれが元気をもらいそれぞれの幸せへと一歩踏み出したような気にさせられる。
奥田さん、伊達に直木賞取っていないなと思わずにいられない。女性作家のように毒づいたところは少なく幻想的な部分は皆無といってよいが、女性作家顔負けの微妙な心理を的確に描写している点は見事のひと言に尽きる。
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2006.09.19 Tuesday 00:32 | comments(0) | trackbacks(4) | 

『凸凹デイズ』 山本幸久 文藝春秋 (トラキチ)


山本 幸久 / 文藝春秋(2005/10/25)
Amazonランキング:位
Amazonおすすめ度:
コミカルな会話が楽しい
一生懸命ってちょっとカッコいいじゃん、と思える1冊


<自分自身の輝ける居場所探しに恰好の1冊>

個人的な意見であるが、これから次世代の直木賞を狙える男性作家として本作の山本幸久さんと三羽省吾さんのお2人を注目している。
お2人とも今後のエンタメ小説界を背負って立つに相応しい逸材だと信じて疑わない。
本作は山本さんのいいところがギュッと詰まった傑作だと言えそうだ。

作者のいいところは次の2点あたりがあげれるだろう。
まず作風がとってもハートウォーミングな点。
次に登場人物が皆個性的でキャラが立っている点。

本作は上記2点が巧みにミックスされ、“山本ワールド”を見事に構築させた作品である。
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2006.09.08 Friday 20:56 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『初恋温泉』 吉田修一 集英社 (トラキチ)


吉田 修一 / 集英社(2006/06)
Amazonランキング:位
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<吉田作品は温泉につかる以上に効能効果があると感じる1冊>

いや〜、本当に巧いな吉田修一。
男女の機微や心のすれ違い、人間に潜む本質的な部分を語らせたら第一人者と言って過言ではないであろう。
たしかに、他の作家のようなメッセージ性は薄いかもしれないが、それが吉田作品のスタイルでもあるのだと思う。

吉田作品の特徴は、読んでいて“わかるわかるこの気持ち!”というように読者を必ず納得させてくれる部分。
平易でさりげない文章の中にも現代人の持つ倦怠感や不安な心理状態を鋭くあぶり出している。
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2006.08.18 Friday 23:23 | comments(0) | trackbacks(1) | 

『エバーグリーン』 豊島ミホ 双葉社 (トラキチ)


豊島 ミホ / 双葉社(2006/07)
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<豊島ミホお得意の普通で地味な若者を熱く描いている青春小説の決定版。>

注目している若手作家豊島ミホさんの待望の書き下ろし新刊。

舞台は雪の降り積もる地方の街。
主人公は中学3年生のシンとアヤコ。
第1章では中学校卒業の日に10年後の再会の約束をするまでが描かれている。

第2章以降は、その後別々の道を歩み始めた2人が、10年後に再会する予定の日の2カ月前からの心の動きが描かれる。

帯に“切なさにキュッとなる恋愛小説”とあるが、私はこの作品は恋愛小説の要素は極めて薄いと思う。
なぜなら別に恋人だったとかじゃなく、好きだと言い合ったわけでもなくただ単に、お互いが気になる存在だったのだから。
どちらかといえば青春小説のジャンルに分類すべきだと思う。
2人がお互いに持ち続けた10年間の想い、は青春時代しか味わうことが出来ないのである。
逆に言えば、好きなのに好きだと言えないほどシャイで純真な登場人物が眩しく感じるぐらいである。

本作は他の作家の恋愛小説のように、人を好きになる気持ちの大切さに力点を置いて描いたものではない。
それよりも自分のやりたいことや夢に向かってどのように生きているか。
そう、豊島ミホは読者と共に人生を模索できる作家なのである。
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2006.08.02 Wednesday 03:15 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『圏外同士』 冨士本由紀 集英社 (七生子)

圏外同士
圏外同士冨士本 由紀
集英社 2006-04
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セクハラという言葉さえ通じない!?
デザイナーへの夢を捨てきれない乃絵と、彼女を愛人にしたい雇われ社長の蕪木。人生の大逆転を夢見る二人が、同じ職場で働いたら? ユーモアとウィット溢れる、働く大人のためのコメディ。

お・も・し・ろ・かった〜♪
今まで読んだ冨士本作品は、ビアンものだったり、
ざらついた読了感が残るようなアクの強い作品ばかりだったのに対しこの作品では、
シニカルな人間観察がそのまんま笑いへ転じるような、なんとも言えないおかしみ(とちょっぴりの悲哀)があって、
冨士本さん、一皮剥けた感じ。
ただおかしみがあるだけじゃなく、
「人間ってヤツは、諦めさえしなければいくつになっても夢を追えるんだ!頑張れ!」と、
ポンと背中を押して貰った気分にもなります。
勇気とやる気を貰ってパワー全開、前向きな気分で本を閉じられるのがいいですね。
人間万事塞翁が午という言葉は、まさに乃絵と蕪木のためにあるんじゃないかしら?
圏外同士だった乃絵と蕪木が圏内同士になって巻き起こる喜悲劇は、
決して他人事じゃない。きっと読者にも跳ね返り、何かしら感じるモノがあると思います。
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2006.06.28 Wednesday 08:36 | comments(0) | trackbacks(0) | 

『ミーナの行進』 小川洋子 中央公論新社 (トラキチ)


小川 洋子, 寺田 順三 / 中央公論新社(2006/04/22)
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<2006年初夏、素晴らしい名作に出逢った>

美しくて心が安らぐ小説である。
私の場合何年かに1度、欠点のない作品に出くわすことってあるのであるが、本作もその数少ない作品の中の1つに仲間入りを果たしたと言える。

小説を読んで、是非他の方とこの暖かさを分かち合いたいと思ったことはないであろうか。
私はこの作品をひとりでも多くの方に手に取って欲しいなと思っている。
この作品はいわば読者の賛否両論の起こりうる作品ではないと思うからだ。
多少の読書のジャンル的な嗜好による合う合わないは出てくるであろうが、根本的に否定される方って“あまのじゃく”だと思うのである。

小川さんは本作で小説で描きえる最大限の懐かしさやあたたかさを読者に披露してくれている。
小川さんの上手さに舌を巻いた読者のひとりとして感想を書かせていただこう。
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2006.06.28 Wednesday 04:00 | comments(0) | trackbacks(3) | 

『雪屋のロッスさん』 いしいしんじ メディアファクトリー (トラキチ)


いしい しんじ / メディアファクトリー(2006/02)
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<何回も繰り返して読みたいワールドワイドな作品集>

以前、いしいさんの本に挑戦したことがあったのであるが残念ながら挫折した経験がある。
リベンジということで今回手に取ってみたが、この本が読者にもたらしてくれる内容と同様大きな教訓を私に与えてくれた。
それは“物事に先入観を持ってはいけない!”ということである。

雑誌ダ・ヴィンチに連載されていたショートストーリーの単行本化。
収められてるのは全30編。市井の人々の仕事と暮らしを描いている。
まさに大人のファンタジーワールド。
短いものは見開き2ページで長いものでも6ページしかない。

予想に反してすべてがハートウォーミングなものばかりではなく、ところどころに人間の嫌な部分も書いている。
決して人生一筋縄ではいかないのである。
が、根底にあるのは“素朴さと暖かさ”
そこに大いなる魅力を感じる。
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2006.06.10 Saturday 01:59 | comments(2) | trackbacks(2) | 

『強運の持ち主』 瀬尾まいこ 文藝春秋 (トラキチ)


瀬尾 まいこ / 文芸春秋(2006/05)
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<読者の心の扉を開けてくれる1冊>
通彦に初めて会って占ったとき、彼が強運の持ち主であることはすぐにわかった。でも、ここまで見通すことはできなかった。四柱推命でも、姓名判断でも、自分が通彦を好きになることまでは予想できなかった。だけど、一日そばにいただけで、通彦とずっと一緒にいたいと思うようになることが明確にわかった。自分で踏み込まないと根本的なことは何もわからない。確かなことは直接触れないと知れないのだ。

何と13ヶ月ぶりの待ちに待った新刊。
瀬尾さん特有の歯切れのいい文章は健在である。
瀬尾さんお得意の“食べ物効果”も恋人通彦の雑な料理を通して微笑ましく描かれている。

どういう作品か瀬尾さん流に言うと・・・
“ちょっとした気持ちの持ち方次第で明日は開けるのだ。”
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2006.05.19 Friday 02:50 | comments(0) | trackbacks(2) | 

『はるがいったら』 飛鳥井千砂 集英社 (トラキチ)


飛鳥井 千砂 / 集英社(2005/12)
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<またまた新しい才能の誕生! これがあるから読書はやめられない>

直木賞の新人版と言っても過言ではないほど近年人気作家を続々と輩出している小説すばる新人賞。
前回の受賞作で直木賞の候補にもあがった『となり町戦争』に引き続き第18回の本作も魅力ある作品が受賞されたのは嬉しい限りである。

幼い頃に両親が離婚したことで、別々に暮らす姉でデパートガールの園と弟で男子高校生の行。
ふたりの熱き姉弟愛(絆)はハルという一緒に住んでいた時期に公園で拾った一匹の犬の介護を通して固く結ばれている。
そのハルはずっと弟が介護していたのであるが、入院を機に姉が預かることとなる。
そのことがハルにとっても転機となるのである・・・
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2006.02.01 Wednesday 22:58 | comments(0) | trackbacks(3) | 

『フォー・ディア・ライフ』 柴田よしき (講談社文庫)


柴田 よしき / 講談社(2001/10)
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心にしみる
眠れなくなること請け合いの本



 <新宿で無認可保育園を営む探偵“ハナちゃん”こと花咲慎一郎が大活躍するハナちゃんシリーズの第1弾>

さすが稀代のストーリーテラー、柴田さんだけあって登場人物それぞれが個性的だけでなく生き方もドラマティック。
他のシリーズで大活躍のあの山内さんまでも登場、柴田さんのサービス精神ぶりにうっとりされた方も多いことでしょう。
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2006.01.21 Saturday 20:00 | comments(2) | trackbacks(2) | 
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